VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#508 『Twined Malice』(下中裕之/LA-MULANA 2/PC)

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NIGOROがおくる遺跡探索考古学アクションアドベンチャーLA-MULANAより、

下中裕之作曲、2の『Twined Malice』。ヨルムンガンド戦で流れます。

MSX風のメトロイドヴァニアフリーゲームとして2006年に配信されたLA-MULANAの待望の続編として登場した本作。すべての文明の始まりとされる巨大遺跡ラ・ムラーナをめぐり、モンスターの大量発生の原因を探るべく、今度は流刑地イグ・ラーナを探索することになる。ドット絵で表現された広大かつ美麗な古代遺跡群、凶悪なトラップと歯応えのある謎解き、行く手を阻むガーディアンたちとの死闘など、冒険心をくすぐる仕掛けが満載で、全体的にシビアな難易度を誇る仕上がりとなっている。PLAYISMやSteamでダウンロード販売されているほか、PS4、スイッチ、XboxOneにも移植された。

本作の音楽を担当するのは鮫島朋龍氏、下中裕之氏、楢村匠氏の三名。このうち楢村氏と鮫島氏はNIGOROの中心メンバーであり、前作と同様、作曲以外にもゲームデザインやプログラミングといった開発の大部分に携わっている。対する下中氏は楢村氏らとは旧知の仲で、以前ロックをテーマにしたバーを経営していたことで知られる。本作の楽曲のうち、下中氏の担当曲はわずか一曲のみで、残りは楢村氏と鮫島氏によるおなじみのエスニックロック系サウンドが揃っている。サウンドトラックはSteamのDLCとして発売されている。

不滅戦場の大ボスとして立ちはだかる北欧神話由来の大蛇・ヨルムンガンドとの戦いにおいて流れるのがこの曲である。ヨルムンガンドは、初っ端からバイクのような戦闘兵器を乗りこなしてプレイヤーを轢き殺さんとする初見殺しも甚だしい攻撃を仕掛けてくるが、そうした理不尽なまでに緊張感に満ち溢れたシチュエーションを、エレキギターのシャープな爆音が威圧感たっぷりに彩る。重苦しい重低音を絶えず響かせつつ、畳みかけるような勢いで高音も入り混じったハイスピードな旋律を奏でることで、より苛烈に、より過激に、呼吸困難に陥るほどに息が詰まる激闘を盛り上げてくれる。曲名は日本語に直せば「よじれた悪意」といったところで、ギターの轟音が複雑に絡み合うさまを端的に表現している。

攻撃パターンを観察して冷静に対処できればいけるのですが、この情熱的な曲のせいかおかげか戦闘中は冷静さを保ちづらく、良い意味で戦闘の難易度をあげてくれているような感じがします。