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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#512 『Valse di Fantastica』(下村陽子/ファイナルファンタジーXV/PS4・XOne)

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スクエニがおくるRPGファイナルファンタジーより、

下村陽子作曲・仲間将太編曲、15の『Valse di Fantastica』。

ガリア乗車時やオルティシエ到着時に流れます。

ファイナルファンタジーシリーズのナンバリング15作目として、オープンワールドを本格的に実現させた本作。停戦協定を結ぶはずだった帝国の強襲を受けてクリスタルを奪われたルシス王国の王子・ノクティスは、クリスタル奪還のための力を得るべく友人たちとともに広大な世界を旅することになる。愛車レガリアでの移動やキャンプ、釣り、写真撮影など、冒険の旅を彩る様々な要素が充実している一方で、オープンワールドの行動範囲がやや限られていたり、予定されていたDLCの一部が開発中止に追い込まれたりするなどの経緯があった。全体的に粗はあるが、意欲的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは植松伸夫氏、青木佳乃氏、柴田徹也氏、下村陽子氏、鈴木克崇氏。編曲のみの担当でNicolas Alvarez氏、John Graham氏、太田光宏氏、仲間将太氏、増本直樹氏、宮野幸子氏、和田薫氏らも参加している。このうちフリーランスの作曲家である下村氏は本作のメインコンポーザーとして発売前から大々的に宣伝されていた。エレガントでメロディアスな氏の作風を活かして、オペラ風のコーラスやオーケストラを用いた壮大な楽曲が数多く収録されていて、サウンドだけでも圧倒的なボリュームを誇る。サウンドトラックは通常のCDの他に、映像とともに旅の記憶を振り返ることのできるBlu-ray版や、初回限定盤に付属するピアノアレンジ版など、多種多様な形で楽しめるようになっている。

PVで使用されたことで一際印象深いが、実際のゲーム内ではほとんど聴く機会がなく、初めてレスタルムに向かう際のドライブや、水の都オルティシエに到着したときのわずかな時間だけ流れるのがこの曲である。イタリア語の曲名(「素晴らしいワルツ」)にある通り、三拍子で奏でられるドラマチックな旋律は、気品あふれる管弦楽器の情緒豊かな響きと相まって、没入感たっぷりに引き込まれるような魅力にあふれている。甘くて美しくて、それでいて力強くもあるその音使いは、山あり谷ありの王子の旅を華やかに彩ってくれる。

この曲はアレンジにも恵まれていて、むしろそっちのほうが聴く機会が多いことでしょう。スローテンポになったことでよりメロウな雰囲気が増したフィールド曲『Sunset Waltz』もあわせてどうぞ。

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