VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#515 『Season of the Samurai』(高田雅史/NO MORE HEROES/Wii)

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グラスホッパーマニュファクチュアがおくる殺し屋アクションアドベンチャー

ノーモアヒーローズより、高田雅史作曲、『Season of the Samurai』。

シノブ戦で流れます。

怠惰でオタクで女好きな全米殺し屋ランキング11位の青年トラヴィスタッチダウンが、1位を目指して愛用のビーム・カタナ片手に敵を薙ぎ倒していく本作。Wiiリモコンとヌンチャクを駆使した直感的で痛快なアクション性が魅力で、ハードボイルドな舞台設定のなかで繰り広げられるカオスなバカさ加減が凄まじいインパクトを誇る。主人公のトラヴィスをはじめ、キャラクターたちの個性はいずれも非常に濃く、また、殺しの傍らにバイドでお金稼ぎしたりバイクで町を散策したりできるなど、フリーダム極まりない作風となっている。GHMらしい尖ったセンスが光る作品として、後にPS3Xbox360にも移植された。

本作の音楽を担当するのは高田雅史氏と福田淳氏。当時GHMに所属していた二人である。このうち福田氏は、多数のアーティストを起用することになる続編のデスパレート・ストラグルでもサウンドの中核を担っている。GHMで殺し屋といえば本作以前にもkiller7が思い浮かぶが、高田氏も福田氏も揃ってkiller7で作曲していたため、本作の楽曲にもそれと共通した雰囲気が漂っている。テクノやレイヴ、ノリの良いEDMなど、バイオレンスでスタイリッシュなテイストの楽曲が数多く収録されていて、どれも本作の世界観づくりに大きく貢献している。

全米殺し屋ランキング8位、日本刀使いの女子高生・シノブとの戦いで流れるのがこの曲である。真っ白いアフロヘアーに浅黒い肌というインパクト抜群な容姿で、トラヴィスに個人的な恨みを持つなど、一見していわくありげな彼女であるが、武士道の精神を重んじるストイックさもあり、かと思えば正体を知った者は容赦なく皆殺しにする残忍さもある。そういうエキセントリックな人物像を反映してか、この曲は冷淡に思えるほど無機質で理知的、それでいて暴力的なグルーヴをも感じさせる珠玉のテクノサウンドとなっている。ノイズのような何気なさで挿入される機械音声が、徐々にエレキギターとドラムの轟音に侵食されていく曲の展開と相まって奇妙な中毒性を有し、殺るか殺られるかのスリリングなシチュエーションを静かに盛り上げてくれる。1ループが4分半ほどとかなり長めだが、中弛みすることなく張り詰めた空気感を保ち続けている一曲である。

3の発売決定を受けて紹介してみました。ランカー戦は良曲揃いですが、そのなかでもこれが一番、これぞ高田さんの真骨頂というような感じがして気に入っています。