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#517 『Moonsiders 1st』(井上拓/鉄拳7/PS4・XOne)

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バンダイナムコがおくる3D対戦格闘ゲーム・鉄拳より、

井上拓作曲、CS版7の『Moonsiders 1st』。Infinite Azureのステージで流れます。

直感操作と曲者揃いのキャラクターが特徴の鉄拳シリーズのうち、ナンバリング7作目にあたる本作。2015年にアーケード版が稼働開始し、本作では従来の店内対戦はもちろん、格ゲー界初となる店舗間のリアルタイム対戦がついに実現した。ストーリーに関しては、長きにわたって続いてきた因縁に決着をつけるような集大成的な仕上がりとなっていて、他社作品であるストリートファイター豪鬼をはじめ、大胆なコラボ展開で様々なゲストキャラクターが参戦している。2017年にはコンシューマー向けに移植され、新キャラクターや新ステージが追加された。

本作の音楽を担当するのは井上拓氏、田島勝朗氏、濱本理央氏など、バンナム所属の作曲家を中心とする複数のメンバーたち。元ナムコ岡部啓一氏や遠山明孝氏などといったシリーズおなじみの面々も揃っている。CS移植に際してステージやムービーBGMなど、多数の新曲が追加されていて、一つのステージにつきラウンドに応じて二曲分(「1st」と「2nd」で別々のアレンジ)用意されていることから、総曲数はかなり充実している。本作の楽曲はいずれも熱い戦闘を盛り上げる王道なロックやテクノ調のものが多く、それぞれの作曲家の持ち味を生かしたサウンドが楽しめる。サウンドトラックは初期のAC版の音源のみを収録したものと、CS版やバージョンアップ後のFRの追加曲も収録したものの二種類が存在する。

CS版の追加ステージであり、後にAC版に逆輸入されたInfinite Azureは、果てしなく空と湖が続く無限遠ステージである。さながらウユニ塩湖のように美しい水鏡が特徴的なこの場所での激闘を彩るのが、穏やかな電子音と透明感あふれるピアノによって奏でられるこの曲である。その清涼感たっぷりなメロディーラインは、見渡す限り幻想的な景色が広がるこのステージにぴったりなすっきり爽やかな雰囲気を醸している。一方、ファイナルラウンドで流れる『Moonsiders 2nd』は一転してもはや原形をとどめぬほどプログレッシブなダブステップに大変身していて、途中でピアノパートが挿入されて初めて安らぎを得られるような、非常に好戦的なアレンジとなっている。

『1st』と『2nd』のあまりの差にびっくりしますが、これはこれで面白いです。あわせてどうぞ。

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