VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#521 『Grid Seeker』(古川典裕/グリッドシーカー/AC)

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タイトーが手がける縦スクロールシューティング・グリッドシーカーより、

古川典裕作曲、『Grid Seeker』。1面と4面で流れます。

稼働開始の前年に実際に起きた湾岸戦争をテーマに、それが世界規模の紛争に発展し、第二次湾岸戦争が勃発したという設定の架空世界を描いた本作。レバーが一つ、ボタン(ショットとボンバー)が二つ、全7面からなるオーソドックスな構成だが、本作ならではの特徴としてグリッドと呼ばれるオプションがあり、これを用いて敵弾を吸収し、ボンバーを補充するという大胆なシステムを採用している。現代兵器をリアルに再現した緊張感のある世界観と、一癖ある独特なゲーム性とが組み合わさった堅実な仕上がりとなっている。後に他のアーケード向けタイトルとともにPS2タイトーメモリーズの上巻に収録され、移植された。

本作の音楽を担当するのは中山上等兵こと古川典裕氏。当時タイトーZUNTATAに所属していた作曲家である。氏にとって本作は初めて担当したシューティングゲームであり、BGMのみならず効果音や音声もほぼ一人で手がけている。本作では基板のF3システムに搭載された高性能なPCM音源を駆使した情熱的なサウンドが多く揃っていて、キャッチーなものからロマンチックなものまで、いずれの楽曲も本作の緊迫した雰囲気をうまく反映している。サウンドトラックはサイトロンのG.S.M.1500シリーズの一環として早い時期に搭乗したほか、ZUNTATAのレーベルからもインターネット限定販売で配信されている。

1面および4面において流れるこの曲は、本作のゲームタイトルをそのまま曲名に冠したメインテーマである。カランコロンと鐘が鳴り響くかのような荘厳なイントロから始まり、そこから重厚感たっぷりに、ときに意図的にテンポを落として哀愁を漂わせつつ、切なくも激しい旋律を奏でる。1面は森、4面は都市の上空が舞台であり、それぞれ趣の異なるエリアとなっているが、その両方にマッチする濃密な音使いが魅力で、凄惨な戦場を鮮烈に彩ってくれる。曲の後半に差し掛かると徐々に高音が増え、明るい曲調へと変化していくが、ループで再び重々しい雰囲気に逆戻りし、そのメリハリに富んだ抑揚が力強い昂揚感を生み出す。最初から最後までずっと正念場と言わんばかりの迫力に満ちた一曲である。

アレンジにも恵まれていて、G.S.M.ではボーナストラックとしてTAMAYOさんによる編曲、アレンジ盤のThe Dictator of Justiceには鈴木Daichi秀行さんによる編曲がそれぞれ収録されています。どちらも原曲の静けさと熱さをうまく引き出しつつ、テクノっぽく、あるいはロックっぽく仕上げています。『Grid Seeker -Proof of A.B.L-』(TAMAYOさんのほう、公式の試聴動画なのでフルではありません)と、原曲と同名の『Grid Seeker』(鈴木さんのほう)、二つともあわせてどうぞ。

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