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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#552 『フィールド(秋)』(植松伸夫/半熟英雄/FC)

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スクウェアがおくるシミュレーションRPG半熟英雄より、

植松伸夫作曲、『フィールド(秋)』。秋のフィールドで流れます。

ハードボイルドになり切れない半熟な英雄である若き王子が、不思議な卵を使って大陸を統一する半熟英雄シリーズの第1作として登場した本作。家庭用ゲーム機としては初となるリアルタイムストラテジー型のシミュレーションゲームで、ジャンルの敷居を感じさせないシンプルなシステムと直感的なゲーム性が特徴である。不思議な卵を使ってモンスターを召喚し、一ヶ月経過するたびに発生する月イチコマンドで兵士を補充したり築城したりしながら、大陸の平和を取り戻していくことになる。舞台劇のような形で繰り広げられるパロディ多めのコメディタッチな作風は、後の作品にも受け継がれ、1作目にしてすでにシリーズの基礎をつくり上げた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは植松伸夫氏。おなじみ当時スクウェアに所属していた作曲家である。氏は半熟英雄シリーズにはすぎやまこういち氏が作曲をおこなっている2作目以外は毎回参加している。植松氏にとって本作は前年の初代FFと並んで初期の担当作であり、一風変わった世界観を持つ本作にあわせてメリハリ豊かな音楽を生み出すことに成功している。本作の楽曲は3作目のサウンドトラックにオリジナル音源で収録されている。

秋のフィールドで流れるのがこの曲である。本作には季節の概念があり、季節の移り変わりに応じて、春夏秋冬それぞれに専用のフィールド曲(ただし夏のみスタッフロールに流用されている)があてがわれている。晴れやかな春、賑やかな夏、穏やかな冬と比較して、秋で流れるこの曲は、伸びやかな雰囲気に満ちた清涼感たっぷりな出来栄えである。秋から連想し得る哀愁や切なさとは一線を画する陽気なメロディーラインが印象的で、透き通るように響き渡る主旋律は、ノリノリな伴奏とあわせて抜群の爽快感を誇る。明るく鮮やかで愛嬌あふれる一曲である。

冬は秋のアレンジで、音程を下げてスローテンポにしたものです。適切な長さの音源が見つからないので紹介は割愛します。