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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#556 『いわれなきリベンジ』(酒井省吾/MOTHER3/GBA)

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任天堂がおくるRPG・MOTHERより、酒井省吾作曲、3の『いわれなきリベンジ』。

コワモテブタマスク戦で流れます。

MOTHER2以来、12年ぶりの新作として登場した本作。それまでのアメリカの片田舎をイメージした世界観から一転、本作では場所も時代も不明なノーウェア島を舞台に物語が展開する。本作では新たに、戦闘曲のリズムにあわせてボタンを押すことで連続攻撃を与えられるサウンドバトルというシステムが導入されていて、シナリオとはあまり関わらない形で音楽が重要な役割を果たすようになった。「奇妙で、おもしろい。そして、せつない」というキャッチコピー通り、シリーズ随一の奇妙で陰鬱で重苦しい雰囲気が漂うなか、例によって切なさも健在であり、現時点におけるシリーズ最終作にして一番の問題作でもある。

本作の音楽を担当するのは酒井省吾氏。本作の開発に携わっているHAL研究所に所属する作曲家である。本作は開発が非常に難航したことで知られていて、開発者間の意思疎通のしやすさを考慮して、それまでのシリーズを手がけてきた外注の鈴木慶一氏や田中宏和氏ではなく、開発状況を事細かに把握できるHAL研内部の作曲家を起用することになった。本作では前述のサウンドバトルとの兼ね合いもあってか、250曲にも及ぶ大量の楽曲が収録されていて、当時のGBAというハードに限らず、現在の最新ハードの大作RPGでもなかなか見られないような充実ぶりとなっている。ゲーム内にはサウンドプレーヤー機能も実装されていて、全体的に音楽に対する並々ならぬ力の入れようが窺える。

本作の敵組織であるブタマスク軍の隊長格であるコワモテブタマスクとの戦闘で流れるのがこの曲である。コワモテブタマスクは、その名の通り強面で体格のいい屈強なブタマスクだが、作中に登場する人気バンドD.C.M.C.の熱狂的なマニアで、グッズには目がないなど、見かけによらずお茶目なところもある。そんな彼との激戦を彩るこの曲は、トランペットの勇猛な音色が印象的な、オーソドックスな四拍子の一曲である。トランペットに追従するようにストリングスも加わると、その旋律はさながら軍歌のように力強く響くが、その実、どこか悲劇的な色合いも帯びていて、風変わりな悲愴感を醸している。そのキャッチーなメロディーラインは、インパクトある曲名と相まって耳に残りやすい。

マザー30周年おめでとうございます。この曲はリズムが取りやすいのでサウンドバトルも比較的楽なほうですが、ほとんど原曲そのままなのに意図的にテンポをいじって調子を狂わせてくる『プライドかけたハッスル』というのもあって、些細な変化ながらも遊び心が感じられます。あとスマブラDXで石坂健太郎さんによるアレンジもあり、『ブッコワシ賛歌』を繋ぎ合わせたメドレーのような感じです。『プライドかけたハッスル』、DXの『いわれなきリベンジ/ブッコワシ賛歌』、あわせてどうぞ。

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