すぎやまこういち作曲、モンスターズ2の『天空の世界』。雪と氷の世界で流れます。
ドラゴンクエストのモンスターに重点を置いたDQMシリーズの2作目として、2バージョンで登場した本作。兄のルカと妹のイル、どちらかを主人公にし、モンスターマスターを目指しながらマルタの国の危機を救うことになる。異世界に繋がるふしぎな鍵を用いて様々なフィールドを冒険することになり、バージョンの違いは主に出現するモンスターや入手できるふしぎの鍵が異なる点であるが、片方のみでもモンスターを全種類コンプリートできる仕組みとなっている。後に前作とのカップリングでPS用に移植されたほか、3DS向けにもリメイクされ、大幅にパワーアップしたうえで一本のソフト（イルとルカの不思議なふしぎな鍵）にまとめられている。
本作の音楽を担当するのは故・すぎやまこういち氏。ドラクエ本編に限らず、本作をはじめとする外伝作品にも軒並み参加していた。前作はテリーが主人公だったということもあり、本編のナンバリングタイトル（6およびその過去作）を色濃く意識した作品であったのに対し、本作はオリジナル要素が強く、そうした傾向は楽曲にも表れている。というのも、前作では本編の過去曲のアレンジが豊富に収録されていたが、本作では（前作初出の楽曲が流用されているものはあるが）オリジナルの新曲で固められている。一部の楽曲に関しては原作GBC版とPS・3DS版で流れる箇所が異なるものもある。サウンドトラックはオリジナル音源に加えシンセサイザーの演奏もついたものが発売されている。
曲名とは裏腹に、GBC版においては天空の世界では流れずに雪と氷の世界で流れるのがこの曲である（なお、PS・3DS版ではしっかりと天空の世界でも流れるようになっている）。クリア後は別の曲に差し替えられるため、聴ける機会が限られているが、そうした幻のような希少さが、この曲の美しさにいっそう磨きをかける。柔らかなGB音源で奏でられる透明感たっぷりの旋律は、クラシカルでメランコリックな魅力に満ちていて、安寧と哀愁と鮮やかな気品にあふれている。物憂げでありながら、その音使いはどこか前向きな響きを帯びていて、氷の世界にしろ天空の世界にしろ、浮世離れした幻想的な異世界を彩るにふさわしい一曲に仕上がっている。
3DS版ではオーソドックスなオーケストラアレンジが施されています。あわせてどうぞ。
※追記 機種名に関連する誤字脱字があったため、修正しました。
