VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#586 『汎用03』(荒川憲一/日本プロ麻雀棋士会監修 プロになる麻雀DS/NDS)

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サクセスとAFFECTがおくる麻雀ゲーム・プロになる麻雀DSより、

荒川憲一作曲、『汎用03』。プロテストの実践モードで流れます。

日本プロ麻雀棋士会監修のもと、DS向けの麻雀ゲームとして登場した本作。実在のプロ雀士10人の打ち筋を再現し、そのうち3人を選んで対局できるようになっている。麻雀漫画の旗手として知られる片山まさゆき氏による味のあるイラストが特徴で、フリー対局のほか、愛翔位戦などの名勝負を実録したうえで状況の読み方を徹底解説してくれる牌譜研究、初歩的な点数計算や待ち牌を当てる麻雀問題集、問題集と実践の両輪で実力を測るプロテスト、ワイヤレスプレイに対応した通信対局、用語を説明する麻雀辞典、あわせて6つのモードがおさめられている。初心者から上級者まで幅広く麻雀の腕を向上させられる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは荒川憲一氏、佐藤哲郎氏、鶴窪和志氏。佐藤氏は当時、荒川氏と鶴窪氏は現在もサクセスに所属する作曲家である。このうち荒川氏はPC98時代にFM音源を駆使して数多くの楽曲を生み出したレトロサウンドの名手である。本作ではそのFM音源をDSに蘇らせるという手法を取っていて、曲数は10曲のみと限られているが、そのどれもが往年のアーケードゲームを彷彿させる粒揃いのチップチューンに仕上がっている。早い段階でDSとFM音源の相性の良さを知らしめてくれた好例と言えよう。サウンドトラックはEGG MUSICにて一時期ダウンロード販売されていたが、現在は残念ながら配信が終了している。

本作の曲名は無骨なネーミングのものが多く、『タイトル』や『対局中』といった使用箇所を示してくれるものはともかく、『汎用』と名のつくものはこの曲を含め5曲ある。そのうちの三番目であり、汎用シリーズのなかでは唯一の荒川氏の担当分であるのが、プロテストの実践編で流れるこの曲である。こつこつと設問を解いていく問題集とは異なり、実践では今まで培ってきた知識と経験と時の運を武器に、その場限りの一発勝負に挑むことになるが、そうした期待と不安の入り混じった状況をストレートに情熱的に表現している。終始アップテンポでキャッチーなメロディーラインは、今この瞬間に全力を賭けると言わんばかりの力強さにあふれていて、たった一巡、たった一手で可能性が無限に分岐する麻雀の奥深さを凝縮しているかのようである。

恐ろしく格好良いですよね。DSでレトロ音源で学習用(麻雀が学習用かどうかはすこし疑問ですが)という観点からすると、安井洋介さん作曲の英単語ターゲットの『Counter Strike』と似た何かを感じます。

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