VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#621 『Like The Wind』(Hiro/パワードリフト/AC)

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セガがおくるレースゲーム・パワードリフトより、

Hiroこと川口博史作曲、『Like The Wind』。Bコースで流れます。

アウトランアフターバーナーを手がけたスタッフによる大型筐体用の新機軸の体感レースゲームとして登場した本作。A~Eの5種類のコースと12人のドライバーからそれぞれ一つ選択し、豪快なモンスターマシンを駆ってさながらジェットコースターのように大胆に走り抜けていくことになる。疑似3Dによる大迫力のグラフィックと、ハイスピードで疾駆する派手な爽快感が何よりの魅力で、スタンダードな着席型筐体のほか、ハンドリングにあわせて座席が動くデラックス版や、通信対戦が可能となるツイン筐体版など、様々なバージョンが存在する。移植は多岐にわたり、AmigaAtari STなどの欧米版に加え、PCエンジン版、セガサターン版、ドリキャス版、さらにはセガ3D復刻プロジェクトの一環で3DSにも移植された。

本作の音楽を担当するのはHiroこと川口博史氏。師匠という呼称でおなじみの、アウトランアフターバーナーも、その他数多くのアーケード作品を手がけたセガ所属の作曲家である。本作でも他の体感ゲームの例に漏れず、サウンドチップとしてOPM系のYM2151にセガ製のPCM音源を組みあわせたサンプリング音源が採用されていて、エレクトリックミュージックとロックを融合させたようなメリハリに富んだ楽曲群が揃っている。サウンドトラックは再三にわたり発売されていて、他作品とともにアレンジが収録されたもの、オリジナルに加えアレンジとスローバージョンが収録されたもの、さらにはデジタル高音質で再収録したうえで未使用曲やプロトタイプをも詰め込んだものなどがある。

Bコースを選んだ際に流れるのがこの曲である。他のレースBGMに比べて一際はっきりと存在感を放つキャッチーなメロディーラインが特徴的で、伸び伸びと奏でられる主旋律を、ベースとドラムのソリッドな音使いが鮮やかに引き立てる。さらにそこに、プレイ中は絶えずエンジン音が加わることで、さながら自分自身が一陣の風となって駆け抜けるような感覚を与え、目まぐるしく移り変わる景色とともに、その緩急自在な旋律は脳裏に深く刻まれる。アップダウンやカーブの多いコースを最高時速240kmにも達する超速で疾走するスリリングなドライブ体験を彩るにふさわしい、爽快感たっぷりの一曲である。

このスピード感が心地良いですね。いつ聴いても色褪せないです。

※YM2151にサンプリング音源は含まれないとの指摘をいただき、加筆修正しました。