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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#634 『たった一人のともだち』(関戸剛/BRAVE FENCER 武蔵伝/PS)

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スクウェアがおくるアクションRPG武蔵伝より、

関戸剛作曲、『たった一人のともだち』。さまよいの森で流れます。

スクウェアの完全新作の3DアクションRPGとして登場した本作。代々英雄召喚の術が伝わるヤクイニック王国を舞台に、160年前の災厄を救ったとされる伝説の剣豪・ムサシを、再び危機に陥った国のために召喚するも、現れたのはまだ年端もゆかぬ子どもの剣士で、少年ムサシが国家存亡の旅に出ることになる。剣と刀の二刀流を用いた爽快な操作性が特徴で、敵の能力を吸収して我が物とするゲット・インによる多彩なアクションを駆使しながら広大なフィールドを駆け巡っていく。時間や曜日の概念が存在することで刻一刻と人も村もダンジョンも変わっていく画期的なシステムを採用していて、初見殺しありのシビアな難易度と相まって、非常にやり応えのある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは関戸剛氏。スクウェア(現スクウェア・エニックス)所属の作曲家で、本作はスクウェア移籍後(以前はコナミに在籍していた)初の担当作である。氏曰く本作以前はコミカルなものを手がけたことがなく、どんな音楽的な演出を用いるか思案したという。その結果、メインテーマとサブテーマをつくり、方々でそのモチーフを引用して楽曲全体に統一感を持たせ、新鮮でありながら聴き覚えのある、耳馴染みしやすいサウンドを生み出した。コミカルだがシリアスでもあり、それでいて童心をくすぐるような優しさに満ちた世界観に見合った良曲が揃っている。サウンドトラックは未収録のものもすくなくないが、それでも80曲近くを収録した二枚組のCDが発売されている。

似たような地形が延々と続くさまよいの森で流れるのがこの曲である。正しいルートを辿らない限りずっと迷子のままになるタイプのダンジョンであり、そのため人々からは不気味で恐ろしい場所として知られているが、この曲はそうしたイメージに反して、妙に躍動感たっぷりの愉快で陽気な曲調となっている。初めこそどこか寂寞とした風情を漂わせているが、リズミカルに旋律を紡ぐオーボエが愛らしく響き渡ると、サビでは束の間だけ悲しみを忘れ、底抜けに明るく伸び伸びとした盛り上がりを見せる。その温もりあふれる音使いは、いつまでも迷っていられるような不思議な没入感を醸し出す。

曲自体はそんなに暗くないはずなのに、森の雰囲気とあわせてちょっぴり怖い感じがします。雪が降っているときの曲(『スノーラビリンス』)もあわせてどうぞ。

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