ヴァニラウェアがおくる2DアクションRPG・ドラゴンズクラウンより、
崎元仁作曲、『街道』。ハイドランドの街で流れます。
プリンセスクラウンやオーディンスフィアの系譜を継ぐ多人数参加型ベルトスクロールアクションRPGとして登場した本作。竜をも支配すると言われる伝説の秘宝・ドラゴンズクラウンを求めて、主人公ら冒険者たちはハイドランド王国の広大な地下迷宮に挑むことになる。ファイターやソーサレスなどの6種類のクラスから自分好みにパーティを編成し、ソロプレイであればNPCと一緒に、マルチプレイであれば同時に4人まで協力して探索していく。ファンタジー調で描かれるテーブルトークRPG的な世界観に、爽快なハクスラおよびベルトアクション要素が融合した仕上がりとなっている。後にPS4向けに移植された。
本作の音楽を担当するのは崎元仁氏。音楽制作会社ベイシスケイプの代表で、オーディンスフィアをはじめヴァニラウェア作品ではおなじみの作曲家である。PS4版では全曲を生演奏の新録に置き換えられていて、その編曲を崎元氏のみならず同じくベイシスケイプの工藤吉三氏、千葉梓氏（ただし現在は退社済み）、東原一輝氏、渡邊里佳子氏が手がけている。本作では剣と魔法のハイファンタジーに見合った優美で幻想的な楽曲が多く、民族音楽特有の温かさを感じさせるものから、迷宮探索に付き物の危険と隣り合わせの恐怖を描き出した威圧的なものまで、メロディアスなオーケストラサウンドが一通り揃っている。サウンドトラックはPS4版発売前と発売後で2種類あり、前者はオリジナル音源の他にボーナストラックとしてピアノアレンジが、後者は新録の音源の他にメインテーマのパーカッションアレンジが収録されている。
冒険者たちの活動の拠点であるハイドランド王国の街で流れるのがこの曲である。何をするにもまずここで、パーティの編成からアイテムの調達、依頼の受注に至るまで、入念に旅支度を整えることになる。その街道で流れるこの曲は、ハープやフルートの透き通るような音色が、束の間の癒しをもたらすとともに、まだ見ぬ冒険に寄せる期待感を募らせてくれる。全体的に和やかで落ち着いた曲調だが、オーケストラが持つ魔術的な奥深さが、どこか壮大な印象をも与え、心ゆくまでファンタジーの世界観に浸れる一曲に仕上がっている。
この曲はピアノアレンジ（編曲は千葉さん）とPS4版生演奏、どちらも良い味が出ています。前者はピアノ独奏ゆえにメロディーラインそのものの美しさが引き立っていて、後者は民族音楽っぽさが増して、全体の表現力に磨きがかかっている印象です。あわせてどうぞ。
