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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#676 『生まれ落ちる世界』(PMMK/リトルバスターズ!/PC)

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Keyがおくる恋愛アドベンチャーリトルバスターズより、

PMMK作曲、『生まれ落ちる世界』。タイトル画面や重要なイベントで流れます。

ビジュアルアーツ美少女ゲームブランド・Keyの6作目として登場した本作。白昼でも突然強い眠気に襲われる睡眠障害持ちの少年・直枝理樹は、幼馴染で極度の人見知りの少女・棗鈴やその兄・恭介らとともにリトルバスターズという草野球チームを結成、仲間を集めながら青春を駆け抜けていく。主人公の理樹やメインヒロインの鈴をはじめ、同じ運命を共有しながら様々な複雑な事情を持った少年少女たちが交流し、友情を育み、成長する過程が描かれる。充実した野球要素やバトル要素、深みのある多層的な世界観など、恋愛のみに終始しないシナリオが特徴となっている。後に18禁化して追加ヒロインや補足エピソードを搭載したエクスタシーが発売された。

本作の音楽を担当するのは折戸伸治氏、戸越まごめ氏、麻枝准氏、Manack氏、PMMK(岩下倫太郎)氏。編曲のみで水月陵氏とMintJam(setzer氏とa2c氏)も携わっている。このうち折戸氏、戸越氏(すでに本作発売前に退社済みだが)、麻枝氏(企画およびシナリオライターも兼任)はビジュアルアーツ所属の作曲家として、他はフリーランスの作曲家として参加している。本作では各ヒロインのテーマ曲はもちろん、喜怒哀楽を表現したものや真剣勝負用のクールなもの、一転してシリアスなものまで、学園生活を彩るにふさわしい豊かな楽曲が一通り揃っている。サウンドトラックは未使用曲やボーカル曲のショートバージョンなども含めて収録されている。

タイトル画面、そしてラストエピソードの前半における幼馴染5人の野球シーンなどで流れるのがこの曲である。全編にわたって静寂に溶け込むように奏でられる優しいピアノの旋律が印象的で、雨粒のようにすこしずつ、それでいてとめどなく降り注ぐ音色が、ずっと同じ場所に留まっていたくなるほど絶妙な居心地の良さを醸し出す。繰り返し、繰り返し、ひたすら丁寧に音を積み重ねていき、ようやく2分過ぎたあたりでオーボエが加わると、さらにいっそう柔らかくて優美な余韻を残す。これからは強く生きようという決心を後押ししてくれる、包み込むような温もりに満ちた一曲である。

麻枝さんによるKey新作が発表されたと聞いて。今回紹介したのは麻枝さんの作曲ではありませんが、彼の作曲のなかでは『ともしび』(編曲はManackさん)が好きです。あわせてどうぞ。

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