若井淑作曲、『希望の森』。希望の森で流れます。
ピクミンシリーズの1作目として登場した本作。宇宙旅行中に墜落して未知の星に漂着したキャプテン・オリマーは、そこで出会った奇妙な生物・ピクミンと協力して、惑星脱出のために宇宙船の修理に必要なパーツを集めていく。見た目も動きも個性的なピクミンたちと一緒に、パーツを探したり原生生物に立ち向かったりしていくことになり、一匹ずつ緻密なAIで制御された豊富なアクションを堪能できる。惑星の大気はオリマーにとって有毒であるため、脱出の制限時間は30日と定められていて、限られた時間内に手際よく作業を進めるリアルタイムストラテジー的な側面もあるなど、独特な奥深さと手強さを持つ仕上がりとなっている。後にWiiに移植された。
本作の音楽を担当するのは若井淑氏。任天堂に所属する作曲家で、ピクミンシリーズには本作以降、外伝のHey! ピクミン（作曲ではなくサウンド監修）を含めすべてに携わっている。本作では氏が単独で作曲していて、ピクミンの声も手がけている。自然豊かな世界観にあわせて、環境音を取り入れたアコースティックなアンビエントサウンドが多く揃っていて、時間帯や敵の近さなどに応じてインタラクティブに変化する仕掛けも完備されている。サウンドトラックは本編未使用のCMソング、それも日本語版のみならずフランス語版も含めて収録されている。
遭難地点を離れて最初に探索できるのが緑に満ちた森林地帯、希望の森である。そこで流れるこの曲は、穏やかな安らぎに満ちたヒーリングミュージックに仕上がっている。柔らかく、かつ印象的に響く主旋律に、ピアノやストリングスが優しく寄り添うことで、まだ見ぬ世界への好奇心と探究心をくすぐってくれる。危険だらけで前途多難なはずのシチュエーションを悲観するどころか、胸いっぱいに期待を膨らませて洋々と乗り越えようとする意気込みを感じさせる一曲である。なお、上記動画では開始～1分21秒が昼（通常）、1分22秒～2分42秒が昼（敵の近く）、2分43秒～4分4秒が夜（通常）、4分5秒～5分25秒が夜（敵の近く）となっていて、敵の近くではドラムが追加されたり夜になったらオルゴールが響いたりするなど、遊び心にもあふれている。
新年一発目は明るめの曲から。でもほんのすこし切なくもあるような、その絶妙なバランスが心地良いですね。
