VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#705 『男節 日』(山手安生/サムライスピリッツ/AC)

www.youtube.com

SNKがおくる剣戟対戦格闘ゲームサムライスピリッツより、

TATE NORIOこと山手安生作曲、初代の『男節 日』。

覇王丸のテーマ曲として、彼のステージ「骸流島」で流れます。

拳ではなく武器で戦うサムスピシリーズの第1作として登場した本作。12人の剣客たちがそれぞれの目的を果たすべく激闘を繰り広げることになる。試合は引き分けありの二本先取制、シンプルな操作体系ながらも強斬りをはじめとする一撃の破壊力が大きく、ダメージ量に応じて怒りゲージが蓄積され、追い込まれるほど攻撃力が増していく独自のシステムが特徴である。時代劇風の世界観だが、参戦キャラは日本のみならず各国から集まっていて、攻撃手段は刀はもちろん、鷹を操る変則的なキャラも存在するなど、総じて斬新さが目立つ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはTATE NORIOこと山手安生氏とPAPAYAこと幡谷正彦氏。いずれも当時、SNKサウンドチームである新世界楽曲雑技団に所属していた作曲家である。本作では三味線や和太鼓といった和楽器を中心に、キャラごとの特徴や出身国にあわせて力強いロックやメタル系の曲調を採用したり、風の音などの自然音を取り入れたりするなど、画期的なサウンドが揃っている。また、対応関係にあるキャラには同じ曲の別アレンジをあてがうなど、先進的な試みにも事欠かない。サウンドトラックはG.S.M. 1500シリーズの一環として登場したオリジナル音源のものをはじめ、アレンジされたイメージアルバムなど、複数種類が発売されている。

本作およびシリーズ通しての主人公格である覇王丸のテーマ曲として、「骸流島」のステージで流れるのがこの曲である。覇王丸は武者修行のために各地を転々とする風来坊で、剣の道を究めんとするストイックな姿勢を、簡素だが洗練された三味線の音色が非常によく反映している。吹き荒ぶ風の唸り声や荒れ狂う波の騒めきを彷彿とさせる環境音は、激しく拍を刻む太鼓と相まって、生きるか死ぬかの決闘にふさわしい見事な切迫感を演出し、一瞬の機を逃さぬ差し合いの重要性を音でもって表現している。なお、橘右京のテーマ曲『男節 月』とはメロディーを共有していて、そちらは笛と波音をフィーチャーした仕上がりとなっている。

SNKの格ゲーから何か、というリクエストをいただきました。今後もすこしずつ充実させていきます。ちなみにこの曲は『男節 月』とあわせて山手さんが本作で一番最初に書いた曲だそうですね。右京のテーマ曲もどうぞ、重ねて同時再生するとぴったり合います。

www.youtube.com