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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#719 『Battle Of The Empire』(三垣敦史/首都高バトル01/PS2)

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元気がおくるレースゲーム・首都高バトルより、

三垣敦史作曲、01の『Battle Of The Empire』。各エリアのボス戦で流れます。

夜の首都高速道路を爆走する首都高バトルシリーズのうち、前作の0の直接の続編として登場した本作。前作から2年後を舞台に、再び勃発した走り屋の覇権争いをめぐり、走り屋の頂点を目指してライバルたちと各地のエリアを疾駆していく。おなじみの首都高コースに加え、本作からは大幅に拡張して新たに阪神、名古屋、東名阪の道路も走れるようになった。実在の自動車メーカーのライセンス取得により、車種のデザインはいっそうリアル志向なものとなったほか、天候システムの導入や油温と水温パラメータの可視化などを受けて、全般的な挙動が強化されている。カスタマイズ要素の充実や派手な演出も相まって、意欲的な要素が多く詰め込まれた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは上松範康氏、藤田淳平氏、三垣敦史氏の三名。上松氏と藤田氏は当時、音楽制作会社リバーサイドミュージックサウンドユニット・feel(現在のElements Gardenの前身)に所属していた作曲家で、三垣氏は元気に所属していた作曲家である。このうちfeelの二人の担当分である隠しボーカル曲を除き、インストゥルメンタルの全曲を三垣氏が手がけている。ロックにオーケストラが融合したようなクールな楽曲が多く揃っていて、サウンドトラックには前述のボーカル曲含め隈なく収録されている。

各エリアに待ち受ける強大なボスとのレース対決で流れるのがこの曲である。「帝国の戦い」という曲名からして、首都高最強の走り屋・迅帝を想起させ、頂点を目指す熾烈な競争にふさわしい堂々たる威圧感を放っている。イントロの第一音から管弦楽器が一体となって奏でられる荘厳さが特徴で、焦らすように何度も粘り強くフレーズを繰り返すことで、じわじわと焦燥感を煽り立てる。43秒あたりからギターの荒っぽい音色が挿入され、続く54秒あたりからは主旋律をストリングスに交代して鮮やかな高音が響き渡ると、最終的にはループに突入して再び迫力満点な貫禄を漂わせる。最速を求める走り屋たちの凄絶な気迫を感じさせる一曲である。

帝王(Emperor)ではなく帝国(Empire)なのは、高速道路を走り屋たちにとってのテリトリーと捉えているからでしょうか。となると、一種の全面戦争のテーマと言えそうですね。