VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#731 『Superplay』(鈴木和臣海・藤原寛倫/Lightstream/Wii)

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任天堂がおくるサウンド+ビジュアルゲーム・Art Styleシリーズより、

鈴木和臣海・藤原寛倫作曲、Lightstreamの『Superplay』。tachyon 3で流れます。

ゲームボーイアドバンス向けに展開していたソフトラインナップ・bit Generationsの後継作品群として、DSiWiiウェアの双方に対応するArt Styleシリーズのうち、dotstreamの実質的なリメイクという形で登場した本作。ジャンルは線レースゲームで、暗闇を駆ける7色の光のラインが、様々な視点に切り替わる立体的なコースを巡って競い合うことになる。制限時間内にハイスコアを目指すfreewayモードと、グランプリ形式で順位を競うcampaignモードを中心に、レーンの取り方や道中のギミックの使い方を工夫して疾駆していく。複数のラインが紡ぐ色鮮やかな軌跡と、ビジュアルに見合ったリズミカルなサウンドが絡み合って、独特な浮遊感を生み出す仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは鈴木和臣海氏と藤原寛倫氏。スタッフロールの表記では藤原氏サウンドデザイン、鈴木氏がサウンドデザインアシスタントとなっているため、藤原氏が単独で作曲している可能性もある。いずれも当時、本作の開発元であるスキップに所属していた作曲家で、dotstreamでも作曲を手がけている。本作ではミニマルアート的な作風にあわせて、ドリルンベースやチップチューン、テクノやトランスなどの前衛的な楽曲が揃っている。サウンドトラックは未発売だが、条件を満たすとゲーム内のBGMオプションが解禁される仕組みとなっている。

tachyon 3、campaignモードの最終コースで流れるのがこの曲である。ラストステージということもあり、スピードが一時的に低下する減速ゾーン、それとは反対に急加速するダッシュパネルなど、さながらジェットコースターのように縦横無尽かつ緩急自在な仕掛けにあふれていて、今までの集大成と言わんばかりの複雑さと美しさを誇るが、この曲はそうした力強いメリハリをありありと反映している。静かに始動するイントロ、そこから徐々に勢いを蓄えていき、小刻みに音色を鳴らすことで疾走感と焦燥感を煽る。繰り返されるミニマルなフレーズは、真っ暗闇のコースのなかでもがき、苦しみながら、やがては光のラインをもって貫く爽快感を表現しているかのようである。ちなみにコース名のtachyon(タキオン)とは物理学の用語で、未だ存在は確認されていないものの、光速を超える速さで運動するとされる仮説上の粒子を指す。

〈2010年の曲〉という扱いにしましたが、本作の日本での発売日は2011年。前年に欧米でlight traxという題で先行発売されていて、ゲーム内容(ただしコース名などに一部変更あり、欧米版ではラストステージはbrillia 3)も曲も共通しているので、そちらを初出年度としています。