VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#733 『ボス戦』(森彰彦/スーパーエアダイバー/SFC)

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アスミックがおくる3Dドッグファイトシミュレーション・

スーパーエアダイバーより、Donこと森彰彦作曲、『ボス戦』(仮称)。

空中ミッションにおけるボス戦で流れます。

メガドライブで発売されたフライトシューティング・エアダイバーの後継作として、ハードを移してスーファミに登場した本作。突如領空内で破壊活動を始めた国籍不明の戦闘機に対処すべく、空戦部隊のパイロットである主人公は出撃することになる。自機は空中戦と地上戦でそれぞれ2機ずつ用意されていて、空中戦では敵機を相手にドッグファイトを繰り広げ、地上戦では敵基地を爆撃しながら、交互にミッションを攻略していく。宙返りや高速旋回といったリアル志向の操作性が特徴で、燃料制限やミサイル積載量にも適宜注意する必要があるなど、歯応えのある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはDonこと故・森彰彦氏。当時、本作の開発元であるコピアシステムに所属していた作曲家である。また、本作のスタッフロールのMUSIC PLAYERの欄にMORImori Rock'n BANDとあるが、おそらくこれはサウンドプログラミングを得意とする氏が本作用に自作したものと考えられる。本作ではロックはもちろん、ジャズやフュージョン系のノリの良いサウンドが勢揃いしていて、いずれも派手にミッションを盛り上げてくれる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

空中戦で敵機を一通り殲滅した際に出てくるボスとの対戦で流れるのがこの曲である。通常のミッション曲から切り替わり、ゲーム内で警告を報せるアラーム音とともに、イントロのオルガンが鳴り響くと、その重厚な音色が一気に厳粛なムードを醸し出す。13秒からドラムが参入し、16秒から主旋律が加わると、またしても一気に雰囲気を変えてアップテンポな疾走感を漂わせる。終始かなり激しく音程が上下して紡がれるメロディーラインは、その複雑さとは裏腹に、非常に耳馴染みする独特なキャッチーさを誇る。自機と敵機、エースパイロット同士の手に汗握るドッグファイトを鮮やかに彩ってくれる一曲である。

この痺れるような昂揚感がいいですよね。イントロの静謐さから一転、というところが特にぐっと没入感を高めてくれる気がします。