VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#738 『管理者の塔』(Y.KIMURA/フェアルーン/iOS・And)

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スキップモアとうららワークスがおくるアクションRPG・フェアルーンより、

Y.KIMURA作曲、アプリ版の『管理者の塔』。

英題は『Administrators' Tower』で、塔のなかと雲の上で流れます。

2009年にフリーのFlashゲームとして登場したアクションアドベンチャー・フェアルーンを原型に、アプリ用のアクションRPGとしてパワーアップした本作。魔王の封印を司る三体の精霊像が紛失したことをきっかえに異変が起き始めた世界を舞台に、主人公は精霊像を探す冒険に出ることになる。80年代のトップビュー型謎解きアクションRPGをコンセプトに、画面上の仮想十字キーと決定キーのみによるシンプルな操作性が特徴である。Flash版は経験値の概念がなかったが、本作からレベル制が導入され、敵との戦闘はレベルの差によって勝敗やダメージ量が決する仕組みである。全編ドット絵で彩られる味わい深い世界観や、ノーヒントだが心地良いバランスの謎解きと相まって、レトロなプレイ感覚を堪能できる仕上がりとなっている。後に追加要素を加えて3DSとVitaに移植されたほか、続編などとともにスイッチ・PC用のフェアルーンコレクションにも収録された。

本作の音楽を担当するのはY.KIMURA氏。ユウラボという名義でも知られるスキップモアの代表者であり、本作では音楽のみならずゲームデザインスクリプト、アートなど、開発全般を手がけている。氏がこよなく愛し、かつ得意とするMSX風の8bitサウンドを中心に、本作では疑似PSG音源によるチップチューンの楽曲が揃っている。氏曰く「厳密な8bit機を再現しているのではなく、(中略)3音しばりにこだわらず、 PSGっぽいけどちょっと豪華な特殊音源的なイメージ」で作曲したとのことである。サウンドトラックはフェアルーンコレクションのサントラにまとめられているほか、英語版の公式サイトにて無償配布されている(そのため、日本語の曲名に加えて英題も存在する)。

三つめの精霊像を求めて物語の中盤から終盤に差し掛かる頃に訪れる管理者の塔は、天高く聳え立つ鈍色の塔(タイトルロゴのiの部分がちょうど管理者の塔のイラストになっている)で、頂上は雲の上へと繋がっている。その塔のなかと雲の上の両方で流れるのがこの曲である。イントロからずしんと響き渡り、そのまま物々しくうねり続ける低音が印象的で、重圧感のある曲調でありながらも不思議と上向きの昂揚感を生み出してくれる。35秒からはシンセパッドのような清涼感のある高音が奏でられ、低音の伴奏と高音の主旋律とが融合してさらなるグルーヴ感を醸し出す。天空を穿つ塔と雲の上に広がる迷宮、双方の圧倒的な存在感を示した一曲である。

ゲーム中は塔の名前が明かされませんが、見た目や内装に合った良いネーミングセンスです。基本的にはファンタジーですが、この塔はすごくSFっぽい雰囲気が出てて、それが音にもよく反映されていますね。ちなみにアプリ版はFlash同様、完全なフリーゲームです。

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