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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#743 『ボーナス・ステージ』(中潟憲雄/源平討魔伝/AC)

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ナムコがおくる和風アクション・源平討魔伝より、

中潟憲雄作曲、『ボーナス・ステージ』。ボーナス面で流れます。

1986年にナムコのアーケード用アクションゲームとして登場した本作。ぷれいやなる異次元の者の布施により地獄から復活した平景清は、宿敵である源頼朝を討つべく、諸国に散らばった三種の神器を集めて復讐に挑むことになる。操作体系は移動用の8方向レバーに攻撃ボタンとジャンプボタンというシンプルなもので、体力は蝋燭の本数で示され、攻撃力は剣パラメータの数値によって、硬いものを斬れば消耗し、道中の紫の玉を拾えば上昇する仕組みとなっている。国ごとにサイドビュー型のオーソドックスな横モード、キャラが巨大化してボスと対戦するBIGモード、迷路状のマップをトップビューで攻略する平面モードの三種類のステージが存在する。徹底された純和風の世界観、諸行無常を実感させるゲームデザインなどと相まって、アーケードの傑作と名高い作品である。後にX68000ファミコンPCエンジン、PC、PS、Wiiなどにも移植された。

本作の音楽を担当するのは中潟憲雄氏。当時ナムコに所属していた作曲家で、本作では開発チームの主要メンバーとして、作曲のみならず脚本も他二名と共同で手がけている。本作では氏が得意とするプログレ系の曲調に和の彩りを加えたエキセントリックな和風サウンドが揃っていて、当時としては珍しい組み合わせながらも、FM音源黎明期にして細部までこだわり抜かれた仕上がりとなっている。また、効果音やキャラクターボイスにも凝っていて、ナムコの作品のなかでも初めてプロの声優を起用したとのことである。サウンドトラックは同時期のアーケード作品とともに収録されたものや、30周年を記念してオリジナル音源・ファミコン音源・アレンジ音源をまとめて収録した音盤などが発売されている。

横モードのうち、特定の鳥居を通り抜けた際にのみ辿り着けるボーナスステージで流れるのがこの曲である。50近いステージのなかで4か所だけと限られているが、お釈迦様がアイテムの玉を大量に撒き散らしてくれる大変「ありがたや」なステージで、アップテンポなリズムがそうした幸運をいっそう鮮烈に印象付ける。ハイハットを利かせた鋭いドラムビートに、煌びやかな和風の旋律を乗せることで、絶妙な耳心地の良さを生み出し、19秒以降、主旋律を一旦柔らかめの音色にバトンタッチすると、続いて34秒以降に奏でられる緩急自在な音階をますます派手に盛り上げてくれる。1ループ40秒足らずの短さだが、ボーナスステージにふさわしい絢爛華麗なメリハリに満ちた一曲である。

源平討魔伝から何か、というリクエストをいただきました。ループ前の展開が非常に鮮やかで、和の魅力が凝縮されている感じがしますね。