VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#755 『地上』(国本剛章/カトちゃんケンちゃん/PCE)

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TBSのバラエティ番組「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」を原作とする、

ハドソンがおくる横スクロールアクション・カトちゃんケンちゃんより、

国本剛章作曲、『地上』。1-1で流れます。

お笑い芸人のザ・ドリフターズ加藤茶氏と故・志村けん氏による看板番組のワンコーナー「THE DETECTIVE STORY(探偵物語)」のゲーム化作品にあたる本作。誘拐された資産家を救うべく、探偵のカトちゃんとケンちゃんは冒険の旅に出ることになる。全6フィールド×4面構成で、二頭身のデフォルメながらも抜群の再現性で描き込まれた二人のうち、いずれかを選択して進めていく。選ばなかったほうは道中でギャグを披露して妨害してきたり、ときにはヒントを与えてくれたりする。攻撃手段はキック、踏みつけ、オナラの三種類で、特にオナラに関しては、敵に背を向けてタイミングよく命中させる必要がある。初見殺しやシビアなパターン構築、救済にも罠にもなり得るステージ間ワープの存在など、コミカルな見た目とは裏腹に、かなりの高難度を誇る仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはキノコ国本こと国本剛章氏。80年代のハドソン製のゲームを数多く手がけた作曲家で、ファミコンでの担当作品が大半を占めるなかで、本作は氏にとって初のPCエンジンタイトルである。当時まだPCエンジンの黎明期だったということもあり、手探りの状態で波形メモリ音源での作曲に挑んだらしく、それまでのファミコンの三音では表現し切れなかった、ジャズっぽい雰囲気の和音(いわゆるテンションコード)をふんだんに用いている。本作のシュールな世界観に見合ったメリハリ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックについては、他3作品とともに本作の楽曲がおさめられたPC園児およびPC園児 DECADE(後者はリマスター版で、制作時のFM音源のものが収録されている)が発売されている。

地上面のうち、最初のステージである1-1のみという限定的なシーンで流れるのがこの曲である。ノリノリな伴奏を奏でるイントロから始まり、丸みを帯びた主旋律の音色がテンポよくリズミカルに紡がれていく。30秒手前からは高音を主体としたチャーミングなサビが響き渡り、その明るく快いメロディーラインは、伸びやかで晴れやかに気分を昂揚させてくれる。最終的にループに入るまで1分弱と短いが、その短さのなかにポップでキャッチーな瑞々しさが凝縮されている。聴いているだけで自然に元気と笑顔を届けてくれるような一曲である。

この曲を紹介してほしい、というリクエストをいただきました。遅ればせながらですが、ご冥福をお祈りします。ちなみに海外ではキャラ差し替えで移植されたようですが、楽曲はすべて共通です。