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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#759 『ロックビルの神殿(表)』(近藤浩治/ゼルダの伝説 ムジュラの仮面/N64)

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任天堂がおくるアクションアドベンチャーゼルダの伝説より、

近藤浩治作曲、ムジュラの仮面の『ロックビルの神殿(表)』。

ロックビルの神殿のうち、表のステージで流れます。

ゼルダの伝説シリーズのうち、前作・時のオカリナの直接の続編として登場した本作。旅の途中で仮面を被った小鬼・スタルキッドに襲われたリンクは、スタルキッドを追って訪れたタルミナの地にて、三日後に月が落下して滅びる運命を変えるべく奔走することになる。世界を救う期限は3日間のみ、オカリナの力を借りて時を巻き戻すことこそできるが、イベントの進捗やダンジョンの攻略状況はリセットされるという癖の強いシステムが特徴で、お面や仮面を被ることでリンクの姿が変わり、対応する特殊なアクションをおこなえるようになる。全体を貫くホラーの雰囲気やギミック満載の手強い謎解き要素などと相まって、異色の傑作に仕上がっている。後に遊びやすさが向上したリメイク版が3DS向けに登場した。

本作の音楽を担当するのは近藤浩治氏と峰岸透氏。リメイク版では久保直人氏と横田真人氏が作編曲している。いずれも任天堂に所属する作曲家で、近藤氏はおなじみゼルダサウンドの生みの親として初代から参加している一方で、峰岸氏は本作がシリーズ初参戦である。総曲数100を超える楽曲のうち、峰岸氏の担当分は戦闘曲3曲(通常戦闘・中ボス・ボス)のみとなっている。「こんどのゼルダは音楽もこわい!」というキャッチコピーにふさわしく、本作の楽曲は退廃感漂う暗澹とした曲調のものが多く、前作からの流用曲や過去作からのアレンジなども作風に合う形で調整されている。サウンドトラックは原作の64版についてはオカリナ曲のための楽譜付きで発売されていたほか、3DS版のアレンジ音源のものも発売されている。

ロックビルの神殿とはイカーナ地方に聳え立つ巨大な岩の神殿で、表と裏で天地がひっくり返る仕掛けを持つ多層構造の複雑なダンジョンだが、その表のほうで流れるのがこの曲である。各地に点在する神殿のうちの最後の一つであることから、今までやってきた謎解きの総仕上げのような歯応えを誇り、そうした重苦しい難度に見合った異様な空気感が曲全体を貫いている。風が唸るような不気味な和音と、オカリナの素朴で奇怪な旋律、じわじわと蝕むような中毒性に満ちた音使いが、みるみる恐怖心を駆り立ててくれる。裏のほうはさらにスピリチュアルな雰囲気に磨きがかかって、耳にこびりつくような異質さにあふれている。

ムジュラの仮面は音楽だけでなくゲームそのものが頭から離れない作品です。3DS版ではほぼ原曲通りですが、音の響き方、強弱、リバーブなどが微妙に修正されて、なんとなく音色が立体的になった印象を受けます。64版『ロックビルの神殿(裏)』、3DS版『ロックビルの神殿(表)』、あわせてどうぞ。

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