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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#762 『Explorer~閉ざされた街』(増子司/デジタル・デビル物語 女神転生II/FC)

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アトラスがおくるRPG女神転生より、

増子司作曲、2の『Explorer~閉ざされた街』。地下シェルターなどで流れます。

女神転生シリーズのうち、「真」が付される前の旧約作品群のナンバリング2作目として登場した本作。最終戦争により荒廃した東京を舞台に、地上には次元の裂け目から現れた悪魔たちが跋扈するなか、地下シェルターで安全に暮らしていた主人公とその親友は、奇妙な悪魔召喚プログラムを入手したことをきっかけに、危険だらけの地上へと旅立つことになる。徹底的に暗澹とした世界観が特徴で、前作と比べて仲魔の数も大幅に増加、悪魔合体システムについては2身に加え3身合体が初登場した。選択次第で二転三転するマルチエンディング制の重厚なシナリオ、バラエティ豊かな悪魔との交渉など、後のシリーズの基礎となるストイックな魅力に満ちた仕上がりとなっている。後に前作とともにスーファミ向けにリメイクされた。

本作の音楽を担当するのは増子司氏。当時アトラスに所属していた作曲家で、女神転生シリーズのサウンドの生みの親として、前作に引き続き作曲している。本作では作曲のみならず効果音やサウンドドライバの作成も含めて音響全般を手がけていて、特殊音源チップの波形メモリ音源を搭載することで、ファミコンのハード性能を凌駕するクオリティの楽曲を生み出している。退廃的な作風にあわせて、ロックやプログレといった威圧感たっぷりの曲調のものが勢揃いしている。サウンドトラックは前作と抱き合わせで発売されていて、Disc1(召喚盤)にはオリジナル音源が、Disc2(合体盤)には米光亮氏によるアレンジ音源がそれぞれ収録されている。

地下シェルターや東京タワーなど、東京各地の3Dエリアで流れるのがこの曲である。地下シェルターといえば主人公たちの故郷であることから、この曲はいわゆる最序盤の街曲に相当する(とはいえ地下シェルターにも悪魔は出現するため、イメージ的にはダンジョン曲に近い)が、そんなことはお構いなしに重圧感あふれる旋律が奏でられる。物々しげに響くメロディーラインは、世も末と言わんばかりの濃密な焦燥感を漂わせていて、主旋律を担うエレキギターと思しき音色は、うねりを利かせながら力強く疾駆する。本作の殺伐とした雰囲気をことさら印象付けてくれる一曲である。

アレンジ版は全体的にカラッとしたハードロックナンバーに仕上がっていて、環境が許せば爆音で聴きたいところです。サントラのブックレットが異様な充実ぶりなのも特徴で、一読の価値ありです。米光さんによるアレンジ、あわせてどうぞ。