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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#766 『女王の城へ』(三武亜紗美/ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~/NS・PS4)

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ガストがおくる錬金術RPG・アトリエより、

三武亜紗美作曲、ライザの『女王の城へ』。異界で流れます。

錬金術をテーマとするアトリエシリーズのうち、本編21作目として登場した本作。片田舎のクーケン島を舞台に、退屈な日々に飽き飽きしていた農家の娘のライザリン、通称ライザは、流れの錬金術士・アンペルとその護衛・リラとの出会いを通じ、幼馴染のレントやタオ、ちょうど立ち寄った行商の娘・クラウディアともども一夏だけの大冒険に出ることになる。新章開幕に伴い、従来のアトリエシリーズから心機一転、システム面が大幅に変更されていて、戦闘は敵味方入り乱れるリアルタイムタクティクスバトルが、調合は樹形図のように枝分かれするレシピに沿って素材を組み合わせるリンゲージ調合が新たに採用された。等身大の少年少女たちが織り成す青春物語と、アトリエらしさを残しつつも大々的に変化した作風とが相まって、シリーズに新しい風を吹き込んだ意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのはアサノハヤト氏、中村新一郎氏、水上浩介氏、三武亜紗美氏、柳川和樹氏の五名。アサノ氏と柳川氏はシリーズでもおなじみの、かつてガストに所属していたフリーランスの作曲家で、残り三名はシリーズ初参戦となるコーエーテクモ(ガストはコーエーテクモに吸収合併され、現在は同社のブランドの一つという扱いであるため)所属の作曲家である。本作では、真新しいアトリエの世界を表現すべく、音楽面でも今まで以上にオーケストラをフィーチャーした瑞々しいファンタジーサウンドが多くなっている。特にグラフィック面で陰影に注力していたことに関連して、明るめの曲調と暗めの曲調とでメリハリをつけてつくり分けられていて、冒険心をそそるような上質な楽曲が揃っている。サウンドトラックはDLCの追加曲を除き全曲収録されているオリジナル版と、新規に編曲されたものや未使用曲などを搭載したスペシャルアレンジサントラが発売されている。

異界とは、文字通りライザたちの暮らす世界とは異なる特殊な場所で、辺り一面、深紅色を基調とした禍々しくも妖艶な景色が広がるフィールドだが、そこで流れるのがこの曲である。ここから物語が大きく進展するというシチュエーションにあわせて、この曲もイントロから壮大な印象を目一杯漂わせている。バイオリンやチェロなどの弦楽器、オーボエクラリネットなどの管楽器が一体となって奏でる珠玉のアンサンブルが魅力で、イントロは華やかだが、その後しばらくはしっとりとした曲調が続き、45秒あたりからピアノが挿入されると、そこから徐々に勢いを増していく。1分15秒からのサビは、美しさの限界に挑むような意気盛んな力強さを示し、見目鮮やかな紅色の光景にふさわしい最上の盛り上がりを見せてくれる。物語の転換期にお誂え向きな、悲愴的な冒険感にあふれた一曲である。

良曲揃いの本作のなかでも心底惚れ込んだ一曲です。アレンジ版もとい未使用版がこれまたとても素敵で、ピアノとフルートの出番が増えて、より強い哀愁を放っています。三武さんによるセルフアレンジ『女王の城へ(Another Ver.)』、あわせてどうぞ。

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