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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#772 『Deep night』(浅野孝己/女神異聞録デビルサバイバー/NDS)

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アトラスがおくるシミュレーションRPGデビルサバイバーより、

浅野孝己作曲、『Deep night』。ベル神との戦闘におけるマップで流れます。

女神転生の派生作品にして、魔神転生以来となるシミュレーションRPGとして登場した本作。突如封鎖され、悪魔が溢れ出した東京を舞台に、従兄の天才プログラマー・ナオヤから悪魔召喚プログラムの入った多機能ゲーム機・COMPを託された主人公は、悪魔使いとなって7日後に迫る首都崩壊の危機に立ち向かうことになる。クォータービュー型のベーシックなSRPGで、主人公やその仲間はもちろん、極限状態に置かれた不特定多数の人々が織り成すシビアな人間ドラマが特徴である。仲魔システムは会話による交渉ではなくオークションで落札する特殊な仕組みとなっていて、選択と行動次第でエンディングが大きく分岐する。全体的にテンポよくまとまった仕上がりとなっていて、後に8日目の新シナリオを追加した3DS版のオーバークロックが発売された。

本作の音楽を担当するのは故・浅野孝己(孝已・孝巳とも表記される)氏、喜多條敦志氏、土屋憲一氏の三名。浅野氏はロックバンド・ゴダイゴのギタリストで、ゲーム音楽については80年代後半にタイトー製のアーケード作品に携わった経験があるものの、本作にてかなり久々に手がけることになった。また、喜多條氏と土屋氏はアトラスに所属する作曲家で、オーバークロックの追加曲を担当している小塚良太氏も同様である。本作ではエレキギターを駆使したハードなロックナンバーが多く揃っていて、いずれの楽曲も過酷なサバイバルを熾烈に盛り上げてくれる。サウンドトラックはオリジナルリミックス(厳密なオリジナル版ではなく、ゲーム未使用のフレーズを追加したロングバージョンなどが含まれる)、デジタル配信限定のオリジナルサントラ(こちらは厳密な意味でのオリジナル版)、オーバークロックの追加曲を収録したものの計三種類存在する。

ベル神とはかつて神に戦いを挑むも敗れたがために散り散りとなった経緯を持つ、とりわけ強大な力を持つ悪魔たちのこと、つまりは大ボスに相当する存在だが、その戦闘におけるマップ画面で流れるのがこの曲である。イントロの第一音からエレキギターの轟音が鳴り響くけたたましいロックナンバーで、最初から最後まで、ギターとドラム以外に楽器を追加しないことで、ストイックなこだわりを感じさせる。暴力的で攻撃的、血沸き肉躍るソリッドでアグレッシブなメロディーラインが、聴く者の心を鷲掴みにするような力強さに満ちている。ともすれば絶望的な、それでいて武者震いするほど悲壮的な魅力を誇る一曲である。

メガテンからはついこの間紹介したばかりですが、浅野さんの訃報を聞き急遽扱うことにしました。曲名は直訳すると「深い夜」ですが、寝静まるような深夜とは程遠い、心身を削って徹夜して、刻限まで抗うようなイメージでしょうか。ご冥福をお祈りします。