VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#782 『Lv.0』(I.O/VOEZ/iOS)

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Rayarkがおくるカラフルリズムゲーム・VOEZより、

I.O作曲、『Lv.0』。初期の収録曲の一つ。

CytusやDeemoで知られるRayarkのリズムゲームとして登場した本作。台湾の宜蘭をモチーフにした蘭空町を舞台に、蘭空高校に通う6人の高校生がバンドを組んで、やがて世界に向けて自分たちの音楽を発信していくことになる。基本的なゲーム性は、上から落ちてくるノーツを判定ライン(レーン)上に到達したらタップするという形式のオーソドックスなリズムゲームだが、レーンが楽曲に合わせて左右に移動したり幅が増減したりする点が最大の特徴で、聴覚はもちろん、視覚も刺激する色鮮やかな演出が魅力である。また、要所要所に高校生たちの日常と成長を描く青春物語も紡がれ、音楽ゲームとしてだけでなく、ジュブナイルものとしての爽快感も味わえる仕上がりとなっている。後にAndroidとスイッチに移植された。

本作では、現在に至るまで200曲以上の楽曲が収録されていて、台湾や韓国、日本などのアジア圏を中心とする様々なアーティストが楽曲を提供している。一部DeemoやBMSからの移植曲もあるが、新規書き下ろしのオリジナル曲が多く、音楽のジャンルとしてはトランスやテクノ、ドラムンベースといった爽やかな曲調のものに加え、ボーカル曲も充実している。このうち楽曲提供者の一人であるI.O氏は、韓国出身のコンポーザーで、本作では1曲のみの参加でありながら、その唯一の曲がDeemoにも移植されている。サウンドトラックは主題歌などを収録したオリジナルサントラと、初期の収録曲を中心に扱うオフィシャルサントラが存在するが、アップデートの追加曲を筆頭に未収録のものが多い。

くだんのI.O氏唯一の作曲であるこの曲は、配信開始当初から収録されていたもので、戦闘不能になって寝そべっているいたいけな勇者のアートワークが印象的な一曲である。ピアノ独奏のイントロから始まり、三拍子の柔らかな音色に優しく寄り添うように奏でられるストリングスが、あふれんばかりの哀愁を漂わせる。30秒あたりから徐々に盛り上がりを見せると、ちょうど曲の折り返し地点で弾けるような電子音が挿入され、切なさに遊び心をブレンドしたような味わい深さを生み出す。再びピアノ中心の旋律に戻ると、このままもう一周ループしそうな余韻を保ったまま、曲が収束する。譜面に関して言えば、中盤の変速地帯が特に密度が高いが、それ以外は比較的素直で落ち着いた配置が多く、総じてメリハリのある出来となっている。

元々ピアノ曲ですしDeemoとは相性がいいですよね。