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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#788 『The Path (A New Beginning)』(Gustavo Santaolalla/The Last of Us/PS3)

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Naughty Dogがおくるサバイバルアクション・The Last of Usより、

Gustavo Santaolalla作曲、『The Path (A New Beginning)』。

スタッフロールで流れます。

アンチャーテッドシリーズで知られるNaughty Dogの完全新作として登場した本作。謎の寄生菌によって人類が絶滅の危機に瀕した世界を舞台に、闇市場での取引を生業とする中年男・ジョエルは、依頼をきっかけに知り合った、寄生菌に対する抗体を持つ少女・エリーとともに、過酷な旅を繰り広げることになる。菌によって怪物と化した感染者はもちろん、生きるために手段を選ばない生存者とも戦わざるを得ない絶望的な世界観が特徴で、戦闘はTPS形式でステルスアクション的な要素を含むスリリングなシステムとなっている。極限まで描き込まれた濃厚な人間ドラマ、それを彩る圧倒的なグラフィック、サバイバルの醍醐味を凝縮した緊張感あふれる旅路とが相まって、映画的な魅力に満ちた屈指の傑作に仕上がっている。後にリマスター版がPS4に登場した。

本作の音楽を担当するのはGustavo Santaolalla氏。スタッフロールにはADDITIONAL MUSICとしてAndrew Buresh氏、Anthony Caruso氏、Matt Levine氏、Joel Yarger氏らの名前も確認できる。Santaolalla氏は主に映画の劇伴作曲で活躍するアルゼンチン出身のミュージシャンで、二年連続でアカデミー作曲賞を受賞したことがある稀代の実力者である。ゲーム音楽に携わるのは本作が初めてのことで、ロンロコと呼ばれるアンデス地方の伝統的な撥弦楽器をはじめ、様々なユニークな楽器を組み合わせて、ときに意図的に調律を狂わせて歪んだ音程を用いることで、本作ならではの退廃的な作風を表現している。また、本作で使用されるオーケストラは、バイオリンだけが欠けている、という点で特異な楽器構成となっている。サウンドトラックはSantaolalla氏の担当分のみを収録したものが発売されている。

スタッフロールの前半で流れるのがこの曲である。最後のカットシーンで、ジョエルとエリーが交わす何ともやるせないやりとりの、その尾を引くような余韻にどっぷりと浸らせてくれるようなセンチメンタルな音使いが印象的である。その温かな音色は、傷心を癒やしつつ、同時に抉りもするような残酷な美しさにあふれている。特に1分半以降、同じフレーズを繰り返すなかで、徐々に力を込めて、ますます張りのある音を紡ぐことで、思わず息を呑むほど感情豊かな響きを生み出し、物語の終焉を物柔らかに締め括る。

Part IIの発売記念に。曲名の副題にある「A New Beginning(新たな始まり)」というのは、果たして希望なのか絶望なのか、あるいはそのどちらでもないのか、考えさせてくれますね。

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