VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#794 『Interval』(shisiza・中道勝彦・馳見'Ace'大地/探偵 神宮寺三郎 Innocent Black/PS2)

www.youtube.com

ワークジャムがおくるアドベンチャー神宮寺三郎より、

shisiza・中道勝彦・馳見'Ace'大地作曲、Innocent Blackの『Interval』。

タイトル画面で流れます。

データイーストのハードボイルドなコマンド選択式アドベンチャー神宮寺三郎シリーズのうち、前作を最期に倒産したデータイーストに代わり、ワークジャムが開発を手がけた本作。今度の神宮寺はかつて世話になった二宮病院の医院長の頼みで、家出した院長の娘・葉月を捜索を依頼され、おりしも巷を騒がせている連続殺人事件とも絡み合って、やがては巨大な闇の組織の陰謀に巻き込まれていく。開発元が変わっても、シリーズおなじみの硬派な作風は健在で、前作で試験的に導入された時間制限は撤廃、王道かつ堅実なシステムに回帰している。一方、シナリオ面ではシリーズのなかでも人死にが突出して多いうえに結末も衝撃的で、いつも通り手堅くも、いつも以上に重苦しい仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはshisiza氏、中道勝彦氏、馳見'Ace'大地氏の三名。後に濱田誠一氏(神宮寺シリーズには4作目から携わっている)の変名義であることが判明した馳見氏以外、シリーズ初参加の面々である。このうち馳見氏は本作のサウンドディレクターを務めているほか、ミュージシャンとしてキーボード・エレキベースアップライトベースの演奏も手がけている。中道氏はジャズやポップの分野で活動しているキーボーディストで、作編曲に加えて馳見氏と共同でキーボードを演奏している。shisiza氏はエレキギター担当で、三名ともコンポーザーとミュージシャンを兼任している。本作においても、今まで培ってきたシリーズの音楽性を正当に受け継いだジャズサウンドが勢揃いしていて、彩り豊かな生演奏が興を添えてくれる。サウンドトラックはちょうど本作の発売にあわせて迎えたシリーズ15周年を記念するアルバムにボーナストラックも含めて収録されている。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。殺人の瞬間が描かれたスリリングなオープニングムービーと、そこで流れる緊張感あふれるジャズナンバー『Scene of Murder』から一転、この曲は同じくジャズはジャズでもゆったりとした魅力に満ちたスムーズジャズに仕上がっている。サクソフォンの燻るような旋律が、細やかで煌びやかなアクセントを添えるピアノの音色と混じり合って、非常に耳心地が良く、それでいてどこか優柔不断な、曇天を思わせるもどかしさのような憂いを内包している。インターバル、隔たりや幕間を意味する思わせぶりな曲名と相まって、安寧と不安を同時にくすぐる一曲である。

モノクロで統一されたタイトル画面の静止画に、Innocent BlackのBの文字だけ赤い洒落たタイトルロゴがよく映えますね。電車の音や雑踏などをうまく取り入れた『Scene of Murder』からの緩急の差もすごく効果的かつ印象的です。あわせてお聴きください。

www.youtube.com