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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#851 『京を行く!』(田中公平/天外魔境 風雲カブキ伝/PCE)

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ハドソンがおくるRPG天外魔境より、田中公平作曲、

風雲カブキ伝の『京を行く!』。ジパングのフィールド曲として流れます。

天外魔境シリーズのうち、3作目にしてスピンオフにあたる本作。前作の激闘から一年、歌舞伎役者に転身した自称ジパング一の伊達男・カブキ団十郎は、かつて猛威を振るった邪教集団・大門教(デーモン教)が復活、京の都の女たちが攫われたことに激怒し、ジパングを飛び出して敵の本拠であるロンドンを旅することになる。前作のパーティキャラを主人公に昇格、目立ちやがり屋なカブキらしく、ミュージカル要素を大々的に取り入れたド派手の演出が最大の特徴である。ジパングとロンドンとでステータス表記や通貨、使える魔法も異なるなど、世界観とシステムがリンクしている点も斬新で、戦闘システムはサイドビューを取り入れている。番外編のためボリュームは多くないが、派手さで魅せてくれる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは田中公平氏。前々作では坂本龍一氏、前作では久石譲氏ときて、本作では音楽制作会社イマジン所属の田中氏が単独で作曲を担っている。田中氏の担当したゲームのなかでも本作は初期の部類で、天外魔境シリーズには本作以前に1作目のOVA(1990年)を手がけたことがある。本作を語るうえで欠かせないミュージカル演出は、ボスが戦う前にボーカル入りの曲を歌って踊るという非常にインパクトのあるものに仕上がっていて、ゲームの容量と相談しながらできる限り詰め込んだという(このときの経験が後のサクラ大戦へと活かされたらしい)。サウンドトラックではCD音源の一部の楽曲とボーカル曲のフルバージョンが収録されている。

物語序盤、ジパングのフィールド曲として流れるのがこの曲である。本作のメインの舞台はロンドンであるため、渡英する前の限られた期間しか聴けないが、それでも一度聴いただけでも耳に残り続けるような力強い迫力を誇る。管弦楽器が一体となって奏でられる優美なオーケストラサウンドで、その臨場感たっぷりの響きは、まるで音の一つ一つに命が宿っているかのような印象を与える。40秒あたりで一旦静まり、クラリネットとハープによる閑雅な間奏が挿入されると、そこから徐々にトランペットやストリングスを交えて賑わいを取り戻し、最盛の勢いでサビへとひた走る。いざ冒険へ、という気持ちを存分に後押ししてくれる、瑞々しい昂揚感に満ちあふれた一曲である。

わくわくしますよね。有り余るほどの活力を与えてくれるような曲です。