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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#856 『M.I.R.A.I. Discovery』(Onoken/Lost in Harmony/iOS・And)

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DigixArtがおくるアクションリズムゲーム・ロストインハーモニーより、

Onoken作曲、『M.I.R.A.I. Discovery』。

「M.I.R.A.I.'s Escape(M.I.R.A.I.の冒険)」の1面で流れます。

フランスのインディーゲームスタジオ・DigixArtのデビュー作として登場した本作。主人公の少年・Kaitoは、同級生の少女・Ayaの入院をきっかけに不思議な夢を見始めるようになり、夢の世界で二人はスケートボードに乗って旅することになる。音楽ゲームにランアクションを組み合わせた直感的なゲーム性が特徴で、画面奥から手前へと迫るキャラを左右に移動またはジャンプさせながら、リズムよく障害物を避けたり、星型のノーツをタップしたりしていく。街のなか、未来都市、海など、夢の世界ならではのバラエティ豊かなステージで、音楽と演出に酔い痴れることのできる仕上がりとなっている。後にアップデートで新章「M.I.R.A.I.'s Escape(M.I.R.A.I.の冒険)」が追加され、こちらは研究所を脱走したロボット・M.I.R.A.I.の旅路を描いている。

本作の音楽は、「Kaito's Adventure(カイトの冒険)」ではクラシック音楽のリミックスを中心に、「M.I.R.A.I.'s Escape」ではオリジナル曲が収録されている。前者はRoc Chen氏、Mark Griskey氏、Wyclef Jean氏、Borislav Slavov氏、Xilix氏が作編曲を、後者はXilix氏やJoek氏に加え、日本人ゲストコンポーザーとしてOnoken氏、Fumitake Igarashi(五十嵐文武)氏、Godspeed Vivix(青木征洋)氏、多和田吏氏、牧野忠義氏が作曲している。前者のリミックスは、白鳥の湖や運命などの有名どころを音ゲー用に最適化した小気味良いもので、後者のオリジナル楽曲群は、SFの作風に見合ったテクノ・トランス系のエレクトロニックサウンドが揃っている。サウンドトラックはカイトとM.I.R.A.I.でそれぞれ分けて発売されている。

「M.I.R.A.I.'s Escape」の最初のステージであるDiscovery(発見)で流れるのがこの曲である。研究所のある惑星から飛び出し、宇宙を駆け、迫りくる隕石を回避しながら煌めく星をリズミカルにタップしていくことになるが、そうした幻想的で疾走感のあるステージにぴったりな爽やかなトランス・ミュージックに仕上がっている。軽快なシンセのメロディーに、ディストーションが効いたガバキックを取り入れることで、ダンサブルなノリの良さを生み出す。特に1分2秒以降はハードコア要素を強調してメリハリをつけ、清涼感と重厚感の両方をバランスよく組み合わせている。新たなる旅の幕開けにふさわしい、美しく、ときに激しく、最高に心地良い一曲である。

ちなみにonokenさんの担当曲はもう一つあって、そっちはよりエレククトリニックなヴァイブの強い、けたたましくて荒々しくて格好良い仕上がりです。『M.I.R.A.I. Ice』、あわせてどうぞ。

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