VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#860 『機械じかけのきおく』(桜井紗良/ウィッチテイル 見習い魔女と7人の姫/NDS)

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ヒットメーカーがおくるRPG・ウィッチテイルより、

桜井紗良作曲・大久保賢編曲、『機械じかけのきおく』。

機械仕掛けの王国アムジスで流れます。

日本一ソフトウェアが販売する新作RPGとして登場した本作。古書に封印されていた魔女をうっかり解き放ってしまった見習い魔女・リデルは、再び古書の魔女を封印すべく、魔法に詳しい吸血鬼・ルウと一緒に混乱に陥った世界を旅することになる。童話をモチーフにしたダークでメルヘンチックな世界観が特徴で、全編タッチペン操作のもと、戦闘システムは行動アイコンをタッチ、敵に向けてドラッグすることで、おはじきのような要領で進めるリボルバーアイコンシステムを採用している。各地に散らばるトゥス・ドールと呼ばれる人形を仲間にしてパーティ編成することができるほか、仲間や主人公の能力を引き継いだ周回要素なども完備されている。おとぎ話らしい作風が徹底された仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは桜井紗良氏。編曲で大久保賢氏も参加している。いずれも音楽制作会社T's MUSICに所属する作曲家で、このうち桜井氏は本作が実質的なデビュー作(本作の前に同じくヒットメーカー製のRPGドラグナーズアリアのテーマソングを手がけた経験があるが、BGMの作曲を本格的に担当するのはおそらく初めて)である。本作ではキュートだけどちょっぴり妖しいファンタジー世界を彩るにあたって、オルゴールやハープシコードをふんだんに用いたメロディアスな楽曲が揃っている。サウンドトラックは主題歌も含めて収録されているオリジナル盤のほか、初回限定の予約特典として一部楽曲が厳選されたミニサントラが存在する。

機械仕掛けの国アムジスは、その名の通りすべてが機械で動く国で、物語終盤らしく複雑に入り組んだマップとなっているが、そこで流れるのがこの曲である。チェレスタを思わせる音色が細かく音階を行き来してミステリアスな空気感を生み出し、15秒過ぎからはストリングスとコーラスの伴奏を伴ってさらに奥行きのある神秘を醸し出す。35秒あたりで上へ上へと高みを目指すフレーズが挿入されるも、その後まもなくループ初めのイントロに回帰し、またしてもくねくねと蛇行するような調子で音階の間を縫っていく。1ループ45秒ほどの短さのなかに迷路のような奇怪さが凝縮された一曲である。

あえて曲名の後半がひらがなになっているのも、雰囲気に合っていて素敵ですね。