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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#862 『オープニングステージ』(末村謙之輔・富樫則彦/ザ・グレイトバトルV/SFC)

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バンプレストがおくるアクション・ザグレイトバトルより、

末村謙之輔・富樫則彦作曲、『オープニングステージ』(仮称)。

オープニング直後のステージで流れます。

デフォルメされたロボットたちが集結するコンパチヒーローシリーズのなかのグレイトバトルシリーズの5作目にあたる本作。貴重な資源・ガルバストーンを狙って惑星ガルシアを支配したダダの野望を阻止すべく、バトルフォースの隊員・ロアは惑星に派遣されて奮闘することになる。前作同様、横スクロールアクションに一部シューティングステージが取り入れられたゲーム性で、世界観を西部劇へと大きくシフトした点が特徴である。主人公のロアに加えて3人のプレイアブルキャラが存在し、最初にどのパートナーを選ぶかでシナリオやステージ構成の細部が異なるが、基本的に操作できるキャラの順番は固定されている。スーファミ最後のシリーズ作品らしく、ウェスタンに路線変更しつつもシリーズの雰囲気を継承した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは末村謙之輔氏と富樫則彦氏。ともに90年代から活動している作曲家で、特に富樫氏はグレイトバトルシリーズゆかりの作曲家として、初代から欠かさず携わっている。また、末村氏は本作を担当した後、だいぶ経ってからバンプレストスパロボシリーズにも携わることになる。本作では西部劇とロボットものを掛け合わせた意欲的な作風にあわせて、情熱と寂寥感あふれるカントリー・ロックミュージックが揃っている。なかには初代の楽曲のアレンジも含まれていて、ツボを押さえたセンスが窺える。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

パートナー選択を終えた直後に始まるオープニングステージで流れるのがこの曲である。今にも処刑されそうなノーベルガンダムを颯爽と救出して戦うシューティング面で、ウェスタンテイスト全開の曲調が、開始早々痺れるような昂揚感をもたらす。イントロで風が荒ぶような効果音が鳴ると、その荒涼とした空気感を受け継ぎつつ、ギターの切ない調べとブラスの勇ましい旋律が絡み合う。30秒からはストリングスと思しき音色が、さらに切なく勇ましく、非常に格好良い悲愴感を醸し出す。本作の西部劇らしさを早い段階で鮮烈に印象付けてくれる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。西部劇ならではの大仰なまでのメリハリが、すごく雰囲気にぴったりで活き活きとした臨場感がありますね。同じく風の効果音をうまく取り入れた曲で言うと、エピローグ(スタッフロール前の会話シーンで流れる曲)が哀愁たっぷりで素敵です。あわせてどうぞ。

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