VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#864 『Whirlwind』(遠矢龍平/薩摩剣士隼人ボッケモンバトラーズ2/PC)

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鹿児島県のローカルヒーロー「薩摩剣士隼人」を題材とする、

GDCがおくる対戦格闘アクション・ボッケモンバトラーズより、

遠矢龍平作曲、2の『Whirlwind』。仙巌園(昼)のステージで流れます。

上記動画の0:33から2:41まで。

鹿児島発の特撮テレビドラマ「薩摩剣士隼人」のゲーム化作品として、鹿児島キャリアデザイン専門学校ゲーム制作サークル・GDCが開発したボッケモンバトラーズの続編にあたる本作。鹿児島に息づく精霊・ボッケモンたちが一堂に会して立ち合いを繰り広げることになる。県内の風景を再現したステージのもと、総勢24名のボッケモンが活躍する。オーソドックスな2人対戦や、最後まで残っていた者が勝ちの4人乱戦に加え、操作を学びながら進められるストーリーモード、10連戦の勝ち抜きモードなどが完備されている。格ゲーらしいコマンドやコンボはもちろん、同じボッケモンでも選択する型によって立ち回りが変化するなど、システム面も一通り充実していて、ご当地ヒーローものならではの地域密着型の世界観と本格的な対戦とを一挙に楽しめる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは遠矢龍平氏。かつてコンパイルエイティングに主にプログラマーとして在籍した経験のあるゲームクリエイターで、鹿児島キャリアデザイン専門学校の教員にしてGDCの総責任者である。本作では作曲のみならずディレクションやシナリオなど開発全般に深く関わっている。音楽の方向性は、曰く「メロディアス+90年代アーケードゲーム風音質」をコンセプトに、ややレトロで、ものによっては和風な印象を与えるノリの良いサウンドが揃っている。サウンドトラックについては、イベントで限定頒布された氏の音楽集・QRSに本作の楽曲が収録されているほか、一部の楽曲は公式のyoutubeチャンネルで公開されている。

鹿児島県鹿児島市に実在する名勝・仙巌園を舞台とした昼のステージで流れるのがこの曲である。仙巌園は薩摩の大名である島津氏の由緒正しい別邸で、ゲーム内の背景イラストでも桜島を臨む絶景を堪能できるが、この曲はそうした鮮やかな景色に寄り添うように雅やかに和笛が奏でられる。ときに三味線を交えながら、気品のある淑やかなメロディーと重く響くパーカッションが混ざり合って曲が展開していき、さらに開始から1分20秒を過ぎたあたり(1:53)でエレキギターも加わることで、爽快感と重厚感に磨きをかける。ちなみに同じ仙巌園でも夜に流れる『QuickSilver』(上記動画の30:15~33:53)は、イントロから速弾きギターで飛ばすシャープなロックナンバーで、どこかミステリアスに響くピアノの音色が印象的な一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。ちょっとした鹿児島観光の気分が味わえますね。『QuickSilver』、上と同じ動画ですが秒数指定し直したものを下に載せますので、あわせてどうぞ。

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