adamgryuがおくるアドベンチャー・A Short Hikeより、
Mark Sparling作曲、『Somewhere In The Woods』。Blackwood付近で流れます。
カナダのインディーゲームスタジオ・adamgryuの代表作にあたる本作。普段は都会で暮らす鳥の少女・Claireは、ある夏、親戚のおばさんに連れられてやってきた自然豊かなHawk Peak Provincial Park（ホークピーク州立公園）で、携帯の電波が届く場所を求めて山頂を目指すことになる。独特な温かみと質感を誇る3Dグラフィックのもと、見渡す限りのフィールドを自由に探索できるオープンワールド形式のアドベンチャーゲームで、ハイキングしたり釣りをしたり動物たちと交流したり、主人公が鳥であるという特性を活かしたアクションとして、滑空したりもできる点が特徴である。小品ながらもほのぼのとした世界観を心ゆくまで満喫できる仕上がりとなっている。後にスイッチに移植された。
本作の音楽を担当するのはMark Sparling氏。カナダ出身の作曲家で、主にインディーゲームへの楽曲提供を手がけている。本作ではほんわかした作風にあわせて、ピアノやアコースティックギターを中心とした穏やかで優しい楽曲が揃っている。フィールドがシームレスに繋がっていることから、曲もシームレスに切り替わるうえに、同じ地域で流れる同じ曲でも、場所によってすこしずつフレーズが異なるなど、細かな工夫が施されている。サウンドトラックは各種オンラインストアでデジタル配信されているほか、数量限定でビニール盤も発売されていて、インタラクティブに変化する各フレーズを短くまとめたShort Hike音源（上記動画で扱っているのもこれ）と、尺は長いが全フレーズを繋げたLong Hike音源、その他ボーナストラックとして一部楽曲のゲームボーイ音源などが収録されている。
おばさんの家（物語の開始地点）からそう遠くないBlackwood付近で流れるのがこの曲である。ブラックウッドは生い茂る木々やさらさらと流れる清流による長閑な景観が印象的な森だが、その和やかな雰囲気を、弾けるような瑞々しさで奏でられるギターのイントロがいっそう強く印象付ける。素朴なリズムを刻むパーカッションに、柔らかく響くピアノや電子音、時折静かに寄り添うストリングスが組み合わさることで、心安らぐような癒しと心躍るようなときめきを感じさせる。リラックスしながら冒険への期待も募らせてくれるような一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。Long Hike音源は10分を超える尺ですが、聴き心地が抜群なのは相変わらずで、ゆっくり音を楽しむには最適です。あわせてどうぞ。
