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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#875 『冬に食べるアイス』(江口孝宏/チャリ走DX3 タイムライダー/3DS)

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スパイシーソフトがおくるアクション・チャリ走より、

江口孝宏作曲、DX3の『冬に食べるアイス』。氷河期のステージで流れます。

チャリで凸凹道を爆走するチャリ走シリーズのうち、3DSで展開するDXのナンバリング3作目にあたる本作。今度はチャリでタイムスリップして古今東西を走破することになる。恐竜の時代やエジプトのピラミッド、戦国の乱世や氷河期など、個性豊かなステージ構成と、それぞれの時代に応じたギミックがふんだんに取り揃えられている。シリーズ初となるボス戦が導入され、走り回りながら攻略の糸口を掴んでいく。いつもながらのシンプルで奥深いアクション性と、いつもとすこし毛色が異なるバトル要素が融合した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは江口孝宏氏、小林和博氏、田中文久氏、谷口輝雄氏、安井洋介氏。すでに退社済みの安井氏を除き、いずれも音楽制作会社スーパースィープに所属する作曲家である。チャリ走DXシリーズには、谷口氏は初代から、残りは2作目から参加していて、本作の作曲陣は前作とほぼ同じ顔ぶれ(早坂匠氏が抜けて五人体制)となっている。本作ではステージ間で時代が大きく移り変わることから、その時代らしさを表現した、ケルトウェスタン、オリエンタル、和風などの多彩なジャンルの楽曲が揃い踏みしている。サウンドトラックはデジタル配信されていて、曲名はパロディやネタを仕込んだものもすくなくない。

ステージ4の氷河期で流れるのがこの曲である。背景にはオーロラやマンモス、ステージギミックとしてときどき氷柱が落ちてきたり、氷床でジャンプ力が鈍ったりするが、なかでも氷河期っぽさを一際印象付けるのが、主旋律を担うピアノの麗らかな高音である。包み込むような音の広がりを持つシンセパッドは、冷たい印象を与える一方で、心が落ち着くようなゆったりとしたテンポ感をも生み出し、心地良い安らぎをもたらす。気の抜けそうな曲名とは裏腹に、透き通るような美しさを誇る一曲である。

冬に食べるアイス、いいですよね。アイスが溶けやすい真夏より、冬に食べるほうが時間に余裕をもって味わえますし、冷たさが染み渡りますし、いいこと尽くめですよ。もちろん曲も素敵です。