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#876 『戦機』(齋藤博人/CROSS HERMIT ~最果ての守護者~/PC)

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エンターブレインがおくるリアルタイムシミュレーション・クロスハーミットより、

齋藤博人作曲、『戦機』。エンディミオン攻略戦などで流れます。

上記動画の57:31から61:09まで。

パワードールなどで知られる工画堂スタジオの元スタッフが制作に携わったとされる本作。世界が混沌に覆われ、故郷の学び舎を追われた幼き生徒たちは、先生である主人公に導かれて混沌の元凶に立ち向かうことになる。詩的な言い回しが多いハイファンタジー調の世界観が特徴で、性格や得意分野が異なる少女たちを指導して、実戦経験を積ませたり技能を修得させたりしてユニットを成長させ、リアルタイムで戦わせていく。操作がやや煩雑で難易度が高く、遊びやすいとは言い難いが、独特な雰囲気と奥深さを持つ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは齋藤博人氏。フリーランスの作曲家で、以前は工画堂スタジオに在籍し、パワードールシリーズを作曲した経験がある。本作では癖の強い世界観重視の壮大なファンタジーにあわせて、楽曲はストリングスやコーラスをふんだんに取り入れた民族音楽風のシンフォニックサウンドが揃っている。サウンドトラックは外伝の小説付きでアレンジ含め2枚組で収録されている。

本作の山場の一つと言える8月のエンディミオン奪還戦や、物見の尖塔の攻略戦などで流れるのがこの曲である。イントロでさながらファンファーレのように、いきなり凄まじい熱量を帯びた金管楽器の音色から始まり、バスドラムの力強い打音が、その激しい勢いを後押しする。開始から30秒過ぎたあたり(53分38秒頃)では、せわしない伴奏を随えて、いっそうけたたましくブラスが響き渡り、サビではさらにストリングスの高音を加え、同じ旋律を複数の楽器で奏でることで重厚感を生み出す。ループ前の間奏では、伸び伸びとしたメロディーを奏でつつ、時折ドラムを高速連打してテンポを整える。ループ直前になると、まるで指揮棒を振り上げてオーケストラのすべての楽器がぴたりと静止するように音が途切れ、そこからまた再始動する。山場にふさわしい派手なメリハリに満ちた一曲である。

今こそ戦機が熟した、という感覚がすごくストレートに伝わってくる曲ですね。この曲以外にも、オープニングの曲『クロスハーミット』がとても秀逸です。世界観を凝縮したOP映像とあわせてご堪能ください。

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