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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#897 『Food chaine』(DEKU/ACE OF SEAFOOD/PC)

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Nussoftがおくる海産物アクションシューティング・エースオブシーフードより、

DEKU作曲、『Food chaine』。通常戦闘曲として流れます。

海洋対戦アクション・NEO AQUARIUMで知られるインディーゲームスタジオ・Nussoftの新作STGとして登場した本作。人類が消え、海洋生物たちが光線を放って戦う遥かな未来を舞台に、海産物である主人公は海の覇者たるエース・オブ・シーフードを目指して戦場を駆ることになる。奇天烈な設定ながらも本格的につくり込まれたオープンワールド式のTPSで、倒した敵の遺伝子を使って繁殖し、仲間を増やし、最大6体のパーティを編成して各地の魚礁を制圧していく。開始時に選択できる主人公の素性(自機=海産物)は5種類だが、最終的には30種類以上のキャラから選べるようになり、見た目や種族の違いはもちろん、それぞれ機動力や射撃力などの性能が異なる。生き物だけでなく戦艦も登場するなど、海のロマンが詰め込まれていて、海産物としての生き様を隅々まで堪能できる仕上がりとなっている。後にWiiUPS4、スイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのはDEKU氏。主に同人界隈で活動しているフリーの作曲家で、Nussoft(現カラッパゲームス)製の作品にはNEO AQUARIUM、本作、そして後のカニノケンカのすべてに参加している。本作では海洋系ハードSFの世界観にあわせて、海の広大さを感じさせるオーケストラに、フューチャリスティックなテクノ・クラブ系のサウンドが融合した楽曲が揃っている。戦闘曲については、通常の対海産物戦はもちろん、対戦艦や対深海生物など複数種類が用意されている充実ぶりが特徴である。サウンドトラックは通常のフィジカル盤のほかにSteamのDLCなどで配信されている。

海産物を相手に戦う、いわゆる通常戦闘で流れるのがこの曲である。緊張感を煽る弦楽器のイントロから始まり、徐々にパーカッションパートを交えながら焦らし続ける。40秒ほど似通ったフレーズを反復した後、ようやく次のフレーズへと移行して伴奏に荒ぶる電子音を加えるも、またしても20秒ほど繰り返し、相変わらずじりじりと焦らし続ける。1分6秒からのサビは、それまで溜めてきたエネルギーを一気に発散させるかのごとく、ストリングスの開放的な旋律が奏でられ、知性的な響きを帯びた電子音と相まってスタイリッシュなノリを感じさせる。曲名はずばり「食物連鎖」(chaineはchainの古い綴り)で、大海原のシビアな生存闘争を力強く印象付けてくれる。

とてもよく焦らしが効いていて素敵ですね。ちなみに対戦艦の『Battle fleet』も最高ですよ。曲の立ち上がりの盛り上がり方が尋常じゃなくて、思わず背びれが疼きます。あわせてどうぞ。

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