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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#904 『Prelude』(STEEL_PLUS/One Step From Eden/PC・NS)

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Thomas Moon Kangがおくるデッキ構築&ハイスピード弾幕アクション・

One Step From Edenより、STEEL_PLUS作曲、『Prelude』。

タイトル画面で流れます。

ロックマンエグゼとSlay the Spireにインスパイアされた作品として、アメリカのインディーゲームクリエイター・Thomas Moon Kang氏が開発した本作。文明崩壊後の絶望の未来を舞台に、9人の主人公が唯一希望が残るエデンの地を目指すことになる。全7ステージで、開始時に主人公を選択し、選ばなかったキャラはボスとして立ちはだかる。戦闘は自陣と敵陣で各16マス・計32マスのフィールド上でおこない、プレイするたびに行き先が自動生成されるローグライクなゲーム性に、様々なスペル(カード)とアーティファクト(装備)を組み合わせて戦うデッキ構築型のカードゲーム、さらにはリアルタイムで攻撃を当てたり避けたりする弾幕アクションの要素が掛け合わされている。思考力と反射神経が試される歯応えのある難易度と、ジャンル横断的なシステムゆえのリプレイ性の高さが魅力的な仕上がりとなっている。後にPS4にも配信された。

本作の音楽を担当するのはSTEEL_PLUS氏とGaroad氏。STEEL_PLUSこと早瀬圭祐氏は、はがね名義でも知られる作曲家で、主にインディーゲームや音ゲーへの楽曲提供を手がけている。対するGaroadことMichael Kelly氏はアメリカ出身の作曲家、同じくインディーズ界隈で活躍していて、本作ではゲストコンポーザーとして3曲のみ参加している。本作ではハイスピードという謳い文句に違わぬスピーディーなテクノやトランス系のナンバーが中心で、インスパイア元であるエグゼシリーズらしいノリの良さを彷彿させるフューチャリスティックなエレクトロニックサウンドが揃っている。サウンドトラックについては、メインテーマのロングバージョンや一部楽曲のアレンジ、フィジカル盤限定のボーナストラックなども含めて収録されている。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。『Main Theme』のフレーズを借りたアレンジで、オーケストラで派手に盛り上げる原曲と比較して、速度を落としてゆったりとした電子音とピアノが響き渡る落ち着いた曲調に仕上がっている。ガンガン飛ばすようなサウンドが大半を占める本作において、この淑やかで美しい前奏曲には、後に来る楽曲を引き立てるような奥ゆかしさがある。ゲームを始める前にあらかじめスローテンポな曲で電子音に耳を慣れさせて、エデンへの道のりを踏み出す英気を養うのにぴったりな一曲である。

メインテーマもそんなに早くはない、ミドルテンポくらいの印象ですが、明確に盛り上がるようなメリハリがあって、なかなか素敵です。同じく旋律を共有するスタッフロールの『Advent』も前向きな良アレンジです。二つともあわせてどうぞ。

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