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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#907 『雪の花咲くオパルス』(光田康典/アークライズファンタジア/Wii)

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イメージエポックがおくるファンタジーRPGアークライズファンタジアより、

光田康典作曲、『雪の花咲くオパルス』。オパルスで流れます。

ルミナスアークで知られるイメージエポック製のRPGとして登場した本作。濁竜による竜災害が深刻な世界を舞台に、メリディア帝国の傭兵の青年・ラルクは、竜討伐の任務中に出会った、竜を歌で鎮める力を持つ少女・リフィアとの出会いをきっかけに、世界の命運を変える冒険へと旅立つことになる。とことん壮大なファンタジー調のシナリオが特徴で、戦闘はいわゆるターン制コマンドバトルだが、すべての行動がAPに依存し、パーティ全体で共有するAPを分配して各キャラに行動を指示していく(一人のキャラにAPをつぎ込んで複数回行動させることもできる)システムを採用している。武器自体にステータスが存在しない代わりに、4×4のマス目状のスロットにピースを取り付けて性能をカスタマイズする独自要素も印象的で、オーソドックスなRPGながらもところどころ斬新さが光る上質な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは土屋俊輔氏、原田裕貴氏、光田康典氏。原田氏はゲームの作曲については現時点で本作のみで、当時、名古屋芸術大学音楽学部の助手を務めていたようである(現在は講師)。それ以外はルミナスアークシリーズの作曲でもおなじみの光田氏率いる音楽制作会社プロキオン・スタジオの作曲家である。本作の楽曲は、ファンタジーの世界観にふさわしい壮麗で透明感あふれるオーケストラサウンドが中心で、物語上で歌が大きな役割を果たすため、主題歌のほかに造語歌詞によるボーカル入りの楽曲もいくつか存在する。また、一部ルミナスアークからのアレンジやメドレーなども含まれる。サウンドトラックは3枚組で収録されている。

北方の島に位置するオパルスの街で流れるのがこの曲である。しんしんと雪が降り続ける、いかにも雪国らしい街並みに優しく寄り添う穏やかな曲調で、ハープとピアノの柔らかなイントロがしっとり耳馴染みするような没入感を醸し出す。24秒からフルートの主旋律が加わると、その透き通った音色が、さらに一段と聴き心地の良さに磨きがかける。一通り笛の調べが奏で終わると、1分4秒あたりから包み込むようなコーラスが入り、続いてバイオリンがループ間際の繋ぎの部分を華やかに彩る。ただ冷たいだけではない、雪国の温もりを感じさせる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。まさに冬の季節にぴったりですね。特にバイオリンの旋律が入る直前の、1分7秒頃や1分11秒頃あたりにさりげなく響くピチカートがとても良い味を出していて素敵です。