VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#930 『Sayonara』(稲葉和彦・細井誠/DEAD OR ALIVE/SS)

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テクモがおくる3D対戦格闘・デッドオアアライブより、

稲葉和彦・細井誠作曲、初代(移植版)の『Sayonara』。スタッフロールで流れます。

テクモ初の格闘ゲームとして登場したアーケード格闘ゲームの移植版にあたる本作。ある者は兄の仇討ちのために、ある者は賞金のために、八人の強者たちが異種格闘技大会・デッドオアアライブに集い、熾烈な戦いを繰り広げる。打撃・投げ・ホールドによる三すくみの操作性が特徴で、デンジャーゾーンと呼ばれるステージギミックの上でダウンすると爆発してダメージを喰らい、上空に吹き飛ばされて大きな隙を生むことになる。大胆に揺れる女性キャラの柔軟さもフィーチャーされていて、移植に際してコスチュームが複数追加された。その他、モーションが全面的に一新され、新技も多数搭載されるなど、移植の域に留まらぬ仕上がりとなっている。後にPS向けに再移植され、グラフィックの刷新、新キャラの追加などの新要素が加えられた。

本作の音楽を担当するのは稲葉和彦氏と細井誠氏。原作のアーケード版は鈴木英之氏、高橋洋明氏、藤島裕氏によるもので、いずれも当時テクモに所属していた作曲家である(細井氏と高橋氏は現在もコーエーテクモに所属している)。このうちAC版では鈴木氏、コンシューマー版では細井氏がコンポーザーとして、他は効果音でクレジットされているが、効果音担当者も一部作曲に携わっているようである。SS版ではほとんどの楽曲がAC版と共通している一方で、PS版では一部既存の楽曲をアレンジしているが、新規差し替えや追加曲が大半を占める。エレキギターが派手に響き渡るロックナンバーが中心で、作中に忍術や太極拳の使い手がいることから、和風や中華風の色合いを帯びた曲もある。サウンドトラックについては、AC音源とPS音源がそれぞれ存在し、どちらもボイス集や効果音も含めて収録されている。

CS版で差し替えられたエンディングで流れるのがこの曲である。AC版では激しいエレキギターとともに3Dモデルのキャラが動き回るムービーが入るが、CS版では打って変わってしっとりとしたバラード調になり、前半はキャラの静止画とともにピアノとアコースティックギターのセンチメンタルな旋律が響き渡る。50秒あたりで満を持してエレキギターの轟音が加わると、静止画の代わりにキャラ同士が格闘する様子を白黒の映像で映し出すようになり、見応えと聴き応えのあるメリハリを生み出す。激闘の幕引きを飾るにふさわしい感傷的な一曲である。

AC版のエンディングテーマは『Show must go on!』(作曲は鈴木さん)、曲名からしてもまだまだ戦いが続きそうな感じで、かなり対照的です。あわせてどうぞ。

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