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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#931 『Silent Edge』(浜渦正志/ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-/PS2)

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スクエニがおくるガンアクションRPGダージュオブケルベロスより、

浜渦正志作曲、『Silent Edge』。エッジの街で流れます。

FF7の外伝作品群・COMPILATION of FINAL FANTASY VIIの第3弾として登場した本作。本編の3年後を舞台に、突如現れた謎の戦闘集団・ディープグラウンドソルジャーに対抗すべく、ジェノバ戦役の英雄の一人であるヴィンセント・ヴァレンタインは、愛銃のケルベロスを手に戦うことになる。ガンアクションというよりFPS、視点が切り替わるため実質的にはTPSで、FFならではの要素として通常の銃撃戦に加えて魔法やリミットブレイクなどが存在する。シナリオ重視の作風のためかムービーシーンが多く、短期間だが発売当時はオンラインのマルチプレイヤーモードにも対応していた(現在はサービス終了済み)。後にアクション面を大幅に改善したインターナショナル版が発売された。

本作の音楽を担当するのは浜渦正志氏と山﨑良氏。浜渦氏は当時スクエニに所属していた作曲家で、FFシリーズには本作以前に本編の10で作曲した経験がある。山﨑氏は当時も現在もスクエニに所属していて、本作がFF初参加、担当分は2曲のみである。また、主題歌はミュージシャンのGackt氏が担当していて、本人がゲーム内に実写で出演している。本作では外伝という立ち位置でありながら本編のアレンジ等は使用しておらず、メロディーラインよりも曲全体のアンビエンスを大事にした、さながら劇伴のような静かなスリルを漂わせた楽曲が揃っている。サウンドトラックについては、主題歌も含まれる通常盤と、マルチプレイヤーモードの楽曲や北米版の追加曲などを中心に収録したデジタル盤が存在する。

壊滅したミッドガルの近郊にある街・エッジで流れるのがこの曲である。ディープグラウンドソルジャーの脅威ゆえに街と言っても活気はなく、物語序盤にてほぼ無人の状態で、雨が降りしきるなかで探索することになる。隣り合うミとファの音を交互に奏でるハープの特徴的なイントロから始まり、そこにストリングスやギターが寄り添うことで、落ち着いているが穏やかならぬ空気感を生み出す。24秒からはずしんと響くピアノの重厚な和音が、43秒あたりからはチェレスタを思わせる柔和な高音が加わり、その憂いを帯びた音使いが、雨降りのほの暗い街を情緒的に彩る。張り詰めた緊張感を漂わせつつ、薄闇に溶け込むような沈鬱さをも感じさせる一曲である。

雨のシチュエーションによく合いますね。曲名も、街の名前として捉えて「静寂のエッジ」と解釈するか、単語として捉えて「静寂の片端」と解釈するかで、どちらも魅力的で素敵です。