VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#944 『The glacial fortress』(岩月博之/Omega Five/X360)

www.youtube.com

ナツメがおくるシューティング・オメガファイブより、

岩月博之作曲、『The glacial fortress』。1面道中で流れます。

XBLA向けの全方位型横スクロールシューティングとして配信された本作。謎の機械生命体の侵略に対抗すべく、女海賊や異星人戦士など曲者揃いのメンツが立ち向かうことになる。全4面でライフ制、自機は初期2体にクリア後解禁2体の計4種類、基本的には2Dのサイドビューだが、遠景から敵が飛び出て背後に回り込まれるなどのギミックがあり、全方向にショットを撃って対処していく。通常のモードに加えてグラフィックやサウンドを調整するレトロモードや、一発でも被弾すればゲームオーバーとなるモード、ローカルのみ対応だが2人で協力できるマルチプレイも搭載されている。ボリュームはすくないが、90年代のアーケードシューティングを彷彿とさせる小品に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのはDonこと岩月博之氏。ナツメ(現ナツメアタリ)に所属する作曲家である。本作のスタッフは、同じくナツメ製のシューティング・ワイルドガンズの開発者が中心となっているらしく、氏も同作の作曲経験がある。本作ではいかにもシューティング然とした硬派なテクノサウンドが揃っていて、レトロモードではシャープな曲調はそのままにチップチューンが堪能できる。曰く当初はサントラ化の予定はなかったが、同業の並木学氏の希望と仲介により音楽制作会社スーパースィープに制作を依頼する手筈となり、岩月氏自身のセルフアレンジも含め、代表の細江慎治氏以下コンポーザー陣がサントラ用のアレンジを書き下ろすことになったという。

STAGE 1「The glacial fortress」の道中で流れるのがこの曲である。「氷の要塞」を意味するステージ名と曲名にあわせて、開始早々に吹雪が舞う銀世界が待ち受け、しばらくするとメカメカしい要塞に突入し、全方位から襲い来る機械生命体を一掃することになるが、そうしたシチュエーションを比類なき爽快感を誇るスタイリッシュなテクノが彩る。旋律らしい旋律が入るまで、イントロの18秒ほどストイックな焦らしを利かせるが、そこから一気に解放感と疾走感のあるシンセを響かせ、没入感たっぷりに轟音に酔わせてくれる。1分23秒から約30秒ほど間奏のフレーズを繰り返して再度焦らした後に力強いシンセを解き放つと、その心揺さぶるようなキャッチーさが凄まじいカタルシスを生む。1面にして鮮烈さを印象付ける、シューティングサウンドのツボを押さえたような一曲である。

原曲が良く、レトロ音源版も良く、そしてサントラのアレンジ版が他ならぬ安井洋介さんによるものですから、素晴らしく願ったり叶ったりです。あとWEB特製ライナーノートが充実していて面白いですよ。レトロ音源とアレンジ、あわせてどうぞ。

www.youtube.com

www.youtube.comsweeprecord.com