VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#012 『It's So Wonderful』(石元丈晴/すばらしきこのせかい/NDS)

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スクエニがおくるアクションRPGすばらしきこのせかいより、

石元丈晴作曲、『It's So Wonderful』。タイトル画面で流れます。

現代のシブヤを舞台にした完全新作として登場した本作。ある日スクランブル交差点の雑踏で目覚めた記憶喪失の少年・ネクは、訳も分からず唐突に始まった死神たちのデスゲームに巻き込まれて自らの存在を賭けて戦うことになる。DSのタッチスクリーンをフル活用したストライドクロスバトルという戦闘システムが特徴で、あらかじめ発火や放電など様々なサイキックを秘めたバッジを装備し、バッジごとにタップやスラッシュといった固有操作をおこなうことでサイキックを発動して戦闘を進めていく。十代の少年少女や曲者揃いの死神たちが織り成す独創的なストーリー、フキダシやコマ割りを多用したコミック風の演出、ファッションや食事といったシブヤらしい体験を楽しめる世界観などと相まって、斬新で遊び応えのある仕上がりとなっている。後にスマホやスイッチにも移植された。

本作の音楽を担当するのは石本丈晴氏。当時スクエニに所属していた作曲家である。本作ではメインテーマはもちろんのこと、収録されている楽曲の大半はボーカル入りとなっていて、ポップ、ロック、ラップなど、ジャンルの垣根を超えるようなスタイリッシュなアーバンミュージックが揃っている。また、ゲーム内でCDを入手すれば任意のトラックをメニュー画面で流すことができる。サウンドトラックはオリジナル音源のもの、海外版の収録曲を加えたもの、ライブ音源のものなど複数種類が発売されている。

ゲームを起動してから最初に聞くことになるタイトル画面で流れるのがこの曲である。数少ないインストゥルメンタルのうちの一つで、極めて無感情・無機質、徹底的に無表情ながらも刺激的な印象に満ちている。突き刺すようなピアノとそれに合わせて周期的に響くパーカッション、メロディーらしいメロディーがないと言っていいほど簡素な繰り返しで構成されている。ギターパートが加わっても激しさが増すことはなく、首尾一貫して単調な、それでいて癖になるほどストイックな曲調を貫き続ける。シンプルかつシャープな一曲である。

すばせかは楽曲全体どれも好きですが、特にこの曲はメニュー画面でも流していました。そのせいで個人的にはタイトルよりメニューの印象が強い曲です。