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#018 『テルルタウン(秋)』(景山将太/ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT/WiiU)

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株ポケとバンダイナムコがおくるポケモンアクションバトル・ポッ拳より、

景山将太作曲、WiiU版の『テルルタウン(秋)』。同名の対戦ステージで流れます。

ポケモンシリーズ初の本格的な格闘ゲームとして登場したアーケード用原作のWiiU移植版いあたる本作。通常のポケモンバトルとは一味違う1対1の格闘技・フェルムバトルで、トレーナーとポケモンが一体となって最強を目指すことになる。本家シリーズとは一線を画する、立体的でリアル志向なグラフィックで描かれたポケモンたちと技エフェクトが特徴で、原作から新たなプレイアブルポケモンやステージを追加している。加えて、フェルムリーグという専用のストーリーモードも搭載されていて、一人で対戦を楽しめるのみならず、本作独自の世界観を補強するような役割を果たしている。親しみやすいポケモンらしさと奥深い格ゲーらしさが両立した仕上がりとなっている。後にスイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのは井上拓氏、景山将太氏、川田宏行氏、北谷光浩氏、佐藤貴文氏、杉本雄氏、トリ音氏、橋本大樹氏、濱本理央氏、平井克明氏。このうちフリーランスのゲストコンポーザーである景山氏を除くメンバーは、いずれも当時バンナムに所属していたか今も所属している作曲家たちである。ポケモンシリーズよりも鉄拳シリーズに寄せたシャープでスピーディーな楽曲が多く用意されていて、複数の作曲家たちによる種々様々なサウンドが試合の緊張感を高めてくれる。サウンドトラックについては、一部店舗の早期購入特典としてミニサントラが付属されていた。

テルルタウンは初期の段階から使用可能なステージで、青々と自然の生い茂る山間の村である。対するテルルタウン(秋)はWiiU版で新規に追加されたテルルタウンの差分で、それぞれ別の曲が用意されていが、この曲は後者、秋色に染まったバトルフィールドを華麗に彩る一曲である。深みのあるフィドルの速弾きが印象的で、全体的に通常時のテルルタウンと似た空気を漂わせているが、そちらでは抑え気味だった民族的な部分を強調している。一番目立つ弦のほかに、特に30秒あたりでよく響くアコーディオンの音色なども強い存在感を放っている。55秒からの華やかな弦捌き、1分23秒からの低音が映える間奏、要所要所で派手に掻き鳴らされるギターなど、見せ場がふんだんに盛り込まれている。田舎町特有の清涼と哀愁を醸しつつ、そこで繰り広げられる激戦の昂揚感をうまく表現した一曲である。

通常時のテルルタウンのほうは爽やかで晴れやかな雰囲気の曲です。あわせてどうぞ。

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