HAL研究所がおくる対戦アクション・スマッシュブラザーズより、
石川淳作曲・池上正編曲、DXの『夢の泉』。同名のステージで流れるもので、
原曲は星のカービィスーパーデラックスの『激突！グルメレース』。
数々のゲームから数多ものキャラクターたちが一堂に会して乱闘を繰り広げるアクションゲーム・大乱闘スマッシュブラザーズシリーズのうち、2作目にあたる本作。ニンテンドウ64からゲームキューブにハードを移したことで、プレイアブルキャラクターが増加しただけでなく、グラフィックの美麗化、ゲームスピードの高速化、テクニックの複雑化など、作品全体の完成度が大幅に強化された。操作性やテンポの良さから、未だに根強い人気を誇る仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは安藤浩和氏、池上正氏、橘田拓人氏、酒井省吾氏の四名。いずれも当時HAL研に所属していた作曲家で、前作を単独で手がけた安藤氏がミュージックディレクターを務めている。今でこそスマブラと言えば大勢の作曲家を集めて編曲合戦するのが恒例となっているが、本作ではこの四名がオリジナルの作曲と既存ゲームの編曲を担っている。サウンドトラックは発売されておらず、以降のシリーズに流用された楽曲に関しては徐々に作編曲者が明かされているものの、依然として詳細が分からないものもすくなくない。
夢の泉で流れるのがこの曲である。出典は星のカービィシリーズで、紫色を基調にしたメルヘンチックなステージを飾るにふさわしい白熱のオーケストラサウンドに仕上がっている。明るくアップテンポな原曲『激突！グルメレース』と打って変わって、イントロから神秘的かつ重めな雰囲気を漂わせる大胆なアレンジが施されている。18秒から主旋律が入ると、奔流のような勢いでブラスの荘厳な音色が響き、29秒にはさらにストリングスが慌ただしくも美しい音色を奏でることで、ますます乱闘気分を盛り上げてくれる。サビのあふれんばかりの華やかさも印象的だが、1分30～41秒のフレーズでは、木管が自由自在に伴奏するなかで、肝心のメインメロディーは弦を指ではじくピチカート奏法で物静かに演奏し、目まぐるしさと静けさが協演を果たす。表現力豊かなオーケストラで楽しく鮮やかに激闘を彩る一曲である。
オーケストラアレンジがとてもよく映えますね。原曲もあわせてどうぞ。
