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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#049 『Blockade』(小林啓樹/エースコンバット04 シャッタードスカイ/PS2)

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ナムコがおくるフライトシューティング・エースコンバットより、

小林啓樹作曲、04の『Blockade』。ミッション4で流れます。

エースコンバットシリーズのうち、ナンバリング4作目として登場した本作。長年対立が続くユージア大陸を舞台に、突如飛来した小惑星ユリシーズの落下により、間一髪で人類滅亡の危機は逃れたものの経済恐慌と難民問題が激化、軍事大国エルジア共和国の侵攻が始まり大陸戦争に発展すると、独立国家連合軍ISAFパイロットである主人公は出撃することになる。前作の前衛的なサイバーパンクの世界観から一転、ミリタリー系の手堅いつくりに回帰していて、渋さあふれるメインストーリーと情緒あふれるサイドストーリーが特徴である。標準的な機銃などに加え、特殊兵装として対空ミサイルといった装備も用意されていて、状況に応じてリアルタイムに生成される無線音声の演出と相まって、後のシリーズの礎となるようなシステムが多数搭載されている。全体的な完成度が高く堅実な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは大久保博氏、小林啓樹氏、中西哲一氏、田島勝朗氏の四名。いずれも当時ナムコに所属していた作曲家たちである。このうち大久保氏と中西氏は2から作曲していて、小林氏と田島氏は本作がシリーズ初参戦である。本作のサウンドは、それ以前のシリーズにあったロックやテクノとは一味違う、エレクトリックなギターおよびオーケストラを主軸に据えていて、後のシリーズで恒例となるラテン語コーラスを採用したのも本作が初めてである。サウンドトラックはボーカル曲も含めて収録されている。

4番目のミッション「空中回廊の遮断」は、敵のジャミングを巧みに突破しながら敵輸送機部隊の全滅を図る任務である。そのミッションで流れるこの曲は、張り詰めた高音から始まり、その後幾度となく同じ旋律を繰り返しながら、徐々にテンションを高めていく。戦場における臨場感を纏ったストリングスの緊張に満ちた音色は、やがて伸びやかなオーケストラに繋がり、自由を体現したかのような解放的なメロディーへと変わる。シューティングゲームならではの切迫した雰囲気と、フライトゲームならではの大空を舞台にした爽快感をテクニカルに両立させた一曲である。

焦らして焦らして最後にぐっと盛り上げる……かっこいいですね。最終ミッションのラテン語コーラスも大好きですが、こういう着飾らないながらも技巧的な音楽もとても素晴らしいです。