VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#064 『平原と空』(三浦憲和/幻想水滸伝ティアクライス/NDS)

www.youtube.com

コナミがおくるRPG幻想水滸伝より、

三浦憲和作曲、ティアクライスの『平原と空』。シトロ平原で流れます。

108人の仲間とともに戦乱を生き抜くというコンセプトの幻想水滸伝シリーズのうち、6作目として登場した本作。辺境のシトロ村で自警団に所属する主人公は見回りの途中で未知の遺跡を発見、そこで手に入れた古びた書物に導かれて、やがて訪れる世界の危機に立ち向かっていくことになる。前作までは同一の世界線上の物語だったが、本作は新章という名目で世界観を一新、百万世界という並行世界を舞台にしていて、個性豊かなキャラクターたちが紡ぐ重厚なシナリオが特徴である。DSの性能を活かした通信機能も備えていて、新章にふさわしい意欲的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは岩田匡治氏、青木佳乃氏、菊田大介氏、小室香理氏、中山真斗氏、広野智章氏、藤田淳平氏、藤間仁氏、三浦憲和氏の九名。編曲のみで安部潤氏も参加している。発売当時、岩田氏は音楽制作会社ベイシスケイプに、菊田氏、中山氏、藤田氏、藤間氏は音楽制作会社Elements Gardenに所属していた作曲家で、三浦氏や広野氏はコナミ所属である。このうち三浦氏のみ過去作での作曲経験があり、比較的多くの曲が氏によるものである。ファンタジーらしい爽やかなものから重厚なものまで、バラエティ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックは二種類あり、一部未収録のものもあるが大半を収録したオリジナル版と、前者で未収録のものを網羅したうえでElements Gardenによる新規アレンジも含めたエクストラ版が存在する。

ストーリーの最序盤、シトロ平原で流れるのがこの曲である。フィールド曲らしい開放感たっぷりな旋律が特徴で、その音使いは、物語の始まりを予感させるような新鮮な息吹に満ちている。アコースティックギターの上を自由自在に駆け巡る笛の音は、この先に待ち受ける冒険への期待をぐっと高めてくれる。風を思わせる透明な音使いは、思わず心が躍るような躍動的な勢いがあり、新章の幕開けにふさわしい昂揚感を駆り立てる。シンプルな曲名と相まって、耳馴染みしやすい没入感あふれる一曲である。

最初の音から引き込まれますね。すこし民族調っぽいところが素敵です。