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#066 『聖詩篇666 ~The Last Testament~』(坂本昌一郎/11eyes -罪と罰と贖いの少女-/PC)

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Lassがおくる侵蝕世界学園伝綺AVG11eyesより、

坂本昌一郎作曲、『聖詩篇666 ~The Last Testament~』。ラスボス戦で流れます。

アダルトゲームブランド・Lassによる退廃的な世界観が特徴の恋愛アドベンチャーとして登場した本作。姉の自殺により強い喪失感に苛まれる高校生の主人公・皐月駆は、幼馴染の少女・水奈瀬ゆかとともに、突如世界が赤く染まる現象・赤い夜に誘われた挙句に刺客に襲われたことをきっかけに、同じく誘われた仲間たちとともに謎めく異世界と日常を生き抜くことになる。穏やかに過ぎていく日常パートと、平穏な時に唐突に割り込んできて死闘を繰り広げる赤い夜パートの二つを進めていく構成で、対照的な両パートが交互に入り乱れながら物語が展開していく。豊富なテキスト量や個性豊かなキャラクターたちと相まって、恋愛とダークファンタジーの両方を味わえる仕上がりとなっている。後にXbox360PSPに移植された。

本作の音楽を担当するのは坂本昌一郎氏。Xbox360PSP版では新たなシナリオが追加され、こちらは細江慎治氏も一部作曲している。坂本氏は発売当時、細江氏は現在も音楽制作会社スーパースィープに所属している作曲家である。本作では、日常と赤い夜では曲調ががらりと変わり、前者は朗らかな雰囲気のものを中心に、後者は本格的なゴシックサウンドを採用し、中世ダークファンタジー風の壮大な楽曲を中心に取り揃えている。サウンドトラックはオリジナルのもののほか、移植版の追加曲およびアレンジを収録したものやボーカル曲を集めたものなどが発売されている。

ラスボス戦で流れるのがこの曲である。物語開始直後のプロローグにおいて、炎に包まれた都市の背景とともに流れる『神は神のものを知りたまう』のアレンジで、重苦しいパイプオルガンの音色に荘厳なコーラスという構成から一転、アップテンポでダンサブルな仕上がりになっている。全体的にスピーディーだが、哀愁を秘めたストリングスの主旋律が、バックで荒ぶるピアノと絡み合うことで、疾走感のみならず廃墟らしい虚無感と怪奇的な禍々しさを感じさせる。濃厚な悲壮感に満ちた一曲である。

記事番号にちなんだ曲にしようと思ったのですが、666曲目まで待てないので66曲目で紹介しました。『神は神のものを知りたまう』もどうぞ。かなり雰囲気が違います。

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