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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#083 『おともだち』(小西利樹/ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス/3DS)

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アトラスがおくるRPG・ペルソナより、

西利樹作曲、Qの『おともだち』。第4迷宮のボス戦で流れます。

ペルソナシリーズのうち、3と4のクロスオーバー作品として、世界樹の迷宮のシステムをベースに生み出された本作。特別課外活動部と特別捜査隊、計17人と1匹のペルソナ使いを擁する二つのチームは、それぞれ時計塔の鐘に纏わる七不思議を追っているさなかに突如異世界へと転移され、脱出を図るべく協力することになる。世界観やシナリオはペルソナらしく、戦闘システムや探索面は世界樹らしく調整されていて、作品の垣根を越えた交流と共闘が楽しめる。周回などのやり込み要素も相まって、手堅い仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは喜多條敦志氏、古代祐三氏、小西利樹氏、目黒将司氏。世界樹の迷宮シリーズでおなじみの古代氏(1曲のみ参加)を除き、いずれもアトラスに所属する作曲家(このうち目黒氏は退社済み)である。本作では、従来のペルソナシリーズよろしくボーカルを取り入れたロックでポップでスタイリッシュな曲も多く、特に通常戦闘曲は、歌詞が共通のものでありながら、最初にP3とP4のどちらを主人公に選んだかによって曲調や歌手が異なる仕組みとなっている。サウンドトラックは曲ごとに作曲家による解説付きで発売されている。

第4迷宮のボス戦で流れるのがこの曲である。開始早々、ずしんと轟くエレキギターの重低音を響かせることで、ボス戦ならではの有無を言わせぬような威圧感を生む。イントロ明けの24秒頃では、それまでの重々しさを受け継ぎつつ、豪快さを加えたパワフルなメロディーラインが奏でられる。徐々に勢いを増しながら重厚かつ痛快な疾走感を漂わせるなか、1分10秒あたりで、サビに入る手前にピアノをそっと添えることで、激しい曲調のなかに束の間だけ儚くも美しい印象を与える。続くサビでは、ギターとピアノが一緒になって同じ旋律をなぞることで、気持ち良く昂揚感を刺激してくれる。シリアスな戦闘を彩るにふさわしい、非常に力強く耳に残る一曲である。

この曲にはOuttakeという未使用バージョンがあって、そちらは1ループ4分を超える大作となっています。自由に暴れ回るギターソロ、後を追って神秘的な伴奏とともに流れ出すピアノ、さらにはピアノが終わったところで、待ってましたと言わんばかりに入るサビのギター……最高に格好良い仕上がりです。あわせてどうぞ。

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