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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#129 『プレジューヌ』(田中公平/GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動/PSV)

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SCEがおくる重力アクションアドベンチャーGRAVITY DAZEより、

田中公平作曲、『プレジューヌ』。歓楽街プレジューヌで流れます。

SCEの完全新作として登場した本作。重力嵐の脅威にさらされる空中都市ヘキサヴィルを舞台に、記憶喪失の少女・キトゥンは重力を操る猫・ダスティとの出会いを経て重力使いとなり、嵐とともに現れた謎の怪物・ネヴィと戦って奪われた街を奪還することになる。重力を自在に操り、あらゆる方向を下と定義することで自由落下の感覚、重力的眩暈を堪能できる陶酔的なアクションが特徴で、どこへでも移動できる広大でシームレスなフィールドと相まって、圧倒的な快感を生み出している。スチームパンクな世界観と、随所に挟まれるカートゥーン仕立てのイベントシーンが、本作の洗練された雰囲気づくりに大きく寄与している。後にPS4にも移植された。

本作の音楽を担当するのは田中公平氏。主にアニメや映画にて数多くのヒット曲を生み出してきた氏は、ゲームにおいてはサクラ大戦シリーズなどを手がけていることで知られている。同じくスチームパンクというコンセプトを共有する作品同士、本作でもそのノウハウを活かしたスマートでハイセンスな楽曲が多くなっている。と同時に、作品全体に漂うフレンチなテイストに合わせて、ヨーロピアンな風情をも併せ持つ。サウンドトラックは主題歌も含めて2枚組で発売されている。

歓楽街プレジューヌで流れるのがこの曲である。仄暗い街並みにネオンの灯りが煌々と輝く夜の街である。怪しげな魅力がいっぱいの街を彩るにあたって、裏拍のビートとピアノの華麗な音色から始まり、そこに開放的なバイオリンが加わることで、どことなく官能的な響きを持つ。ジャズやスウィングを想起させるラッパのしなやかな音色に、フラメンコ調のギターを添えることで、異国情緒をたっぷり含んだスタイリッシュな印象を与える。重力操作が生み出す浮遊感と相まって、思わず小躍りしたくなる独特な恍惚感に満ちた一曲である。

続編のアレンジがこれまた素敵で、ビッグバンド風の豪華な音色が非常にエクスタティックです。2より『プレジューヌ (Revisit Ver.)』、あわせてどうぞ。

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